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【編集力】ビジネスで必修!  編集者が持つ3つの凄いスキル

”編集力”という言葉は、主に雑誌や書籍などを制作する出版社に勤務している編集者が持つ能力のことです。

近年、編集者の方がテレビやYouTubeなどに出演したり、自ら書籍を出版したりして、その能力があらためて注目されています。

今回は編集者の仕事と、その凄いスキルについて紹介します。

■編集者とは、どんな仕事?

現在、私は東京都内の一部上場会社で、クライアントに対してマーケティングを駆使して、主にプロモーション領域を提案する部署に所属しています。

管理職という立場上、自部門で人材を雇用する際は、採用面接に立ち会うこともありますが、正直、時間にも限りがあるので、面接した方の能力をすべて見抜くのは不可能です。

もちろん、質疑のなかで、最低限のスキルや社会人としてのマナーを知ることはできます。
 
 
しかし入社後に期待したほどのパフォーマンスが発揮できなかったことも多々あります。

これまで失敗してきたなかから、採用の際に重視するようになったことがあります。

それは、その方の”キャリアのスタートが、どんな職業だったのか”です。
 
 
最初に勤めた職種、業界、職場環境、役割・担当などは、その後のパフォーマンスに与える影響が大きいです。 

さらに付け加えると、最近は最初に就いた上司の影響も、その後の職業人生で大きな影響を与えていると感じます。

昔に比べ、仕事の内容は多様化しています。

職業を一括りにして決めつけることは、もしかしたら差別につながるかもしれません。

ですが、職歴や資格だけで採用・不採用のくだすのは限界があります。

ですので、実際は一概にはいえないのですが、私が優先して採用している職種があります。

それが編集者です。

特に定期雑誌の編集を手掛けていた元編集者の方は、即、採用したくなります。

近年は、雑誌の廃刊や書籍の売上減少で出版不況です。

中途採用者のなかには、元大手出版社で有名な雑誌を制作していた方も混ざっていることがあります。

そして入社後も期待以上に”スゴい!”活躍をすることが多いです。

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では、編集者が持つ凄い能力とは何なのか?

私なりに3つのスキルを挙げると、下記のようになります。

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◆”スタートアップ力”が凄い!

◆”ターゲットへの執着心”が凄い!

◆”まとめ上げる力”が凄い!

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”3つの凄いスキル!”について、1つずつ解説します。


■"スタートアップ力"が凄い!

いわゆる「0→1」、何もない状態から1を生み出す力です。

スタートアップは英語で「行動開始」などの意味です。

米国のシリコンバレーからきたものですが、ビジネス上では「起業」や「事業の立ち上げ」などの意味で使われるケースが多いようです。

抽象的な言葉ですので、具体的に知りたい方は下記の書籍がオススメです。

参考書籍:『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(著者 ピーター・ティール、NHK出版、1600円)

さて、編集者の業務フローとしては、まず「発刊する本の企画立案」から始まります。
 
 
基本的に0(ゼロ)の状態から「今度は何を発行しようか」と、考えて、すべてが始まるわけです。
 
 
実は私は、キャリアのスタートが出版社で、その後、編集プロダクションで働いていました。
 
 
雑誌の編集部門に在籍していたときは、月刊誌を担当しており、書籍の部門では洋書の翻訳書籍も含め月に3冊発行を担当していました。

つまり毎月3冊のノルマに追われて戦っていたわけです。

編集者として一番身についたことは、”0(ゼロ)から1(イチ)を生み出すチカラ”だったと思います。
 
 
雑誌や書籍は流通や取次の都合上、サイズやページ数など基本的な仕様が決まっています。

つまり毎号スタート時は、白紙の本が目の前にあるような状態です。

企画内容を立案して構成・台割りを考え、キャッチコピー、見出し、本文、写真、イラストで紙面を埋めていくことが仕事です。

またコピーライターさんやデザイナー、カメラマン、イラストレーターと協力しながら、配本に向けて制作していきます。
 
 
現在、私は新規事業の創出や起業の手伝いなどもしていますが、編集者時代に培った能力が活かされていると実感しています。

0(白紙)の状態から1(新規事業)を生み出すことに抵抗感がないのは、編集時代の訓練の賜物で、編集者の凄い能力のひとつと実感します。


■"ターゲットへの執着心"が凄い

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雑誌や書籍は、読者ターゲットが明確なメディアです。

ターゲットは、かなり細分化されています。

例えば月刊の女性誌ですと、「20代前半OLで、まだ学生気分が抜けていない女子」とか「40代前半子育中OL、ただし旦那も働いているためダブルインカムで経済的にゆとりがある」とかです。
 
書籍も同様です。
 
趣味のハウツー本ならスポーツ観戦を楽しむ人のためなのか、実際にやる人のためなのか、指導者なのかによって、内容はまったく違います。
 
 
編集者時代、私が特に下記3つを常に強く意識して制作を進行していました。
 
 ***********
 
◆誰に伝えたいのか?
性別は?年代は?経済状態は?居住エリアは?
誰に向けて発信しているのか?
 
 
◆ニーズはあるか?
どんなニーズを持っていて、この仕事は、そのニーズを満たす内容になっているか?
 
 
◆目的はなにか?
ニーズに対し、その目的を達成するために発信できているか?

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読者ターゲットについて補足すると、本の表向きの設定は、性別、年齢、職種ぐらいかもしれませんが、編集部内では、もっと具体的に細分化していました。
 
例えばビジネス書であれば、「入社5年目の28か29才、仕事にも慣れひと通りこなせるようになり、仕事にも経済的にも余裕が出てきた。それと同時に、多少周りが見えるようになって、少し焦りを感じ始めている。キャリアアップを意識し始めている方に向けて、出勤電車の中で読んで欲しい雑誌・・・」などです。
 
 
つまりこれは”ペルソナマーケティング”です。

雑誌や書籍はページやコーナーごとにターゲットがブレると読書は読みづらくなります。

読者が着いてこれない本は売れません。

そのため編集者がターゲットを徹底的に意識する習慣は、習性といえるほど身についているわけです。
 
 


■"まとめ上げる力"が凄い

雑誌や書籍の編集は、完成するまでに携わっている人が多いことが特徴です。
 
それも工程が多く、さまざまな職種の方が関わっています。
 

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〈書籍・雑誌作成の主なフロー〉 
  内容立案・企画・構成

   ↓
  取材・撮影
   ↓
  ライティング
   ↓
  デザイン・レイアウト
   ↓
  校正・校閲
   ↓
  入稿
   ↓
  色校
   ↓
  印刷
   ↓
  運搬
   ↓
  配本
   ↓
  発売

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発売日に合わせ、スケジュールは後ろから決められているため、編集者にとって入稿日は絶対厳守です。

さらにWEBと大きく違う点は、一度、印刷されると修正・訂正が出来ないため間違いが許されないことです。

もし仮に修正が発覚した際は、書店や市場から回収するのに莫大な費用が発生します。

また私が雑誌の編集に携わっていた時代は、掲載内容は一次情報以外、原則的に禁止でした。
 
 
一次情報とは基本的に取材を行った情報のことで、情報源は明確にして、もし二次情報を流用する際は、裏どり取材はマストでした。

自ずと取材が多いので有識者への顔が広い点も、編集者の強みといえます。

取材相手の話を聞き、話に合わせるため、様々な話題に精通していて、興味の幅が広く持つことができます。

編集者は、そんなタイプの人種が多いです。

そして最後は締め切りに対して忠実で、想定外のことが起こっても、入稿日を厳守して配本まで漕ぎ着けます。

ですので、”まとめ上げる力”は自ずと養われます。
 
ビジネスの世界で共通していえる締め切り厳守、時間厳守の精神が身についているのです。
 

■まとめ

 
今回は”編集者が持つスゴさ”について、3つ挙げてみました。 
 
現在、私は別の職種に携わっていますが、編集者のスゴさを実感し、彼らは仕事内容が変わってもその凄さを発揮しています。
 
 
その原則は責任感であり、仕事に対して誠実な姿勢が身に着いるからなのです。

これはビジネスマンにとって基本的かつ最低限必須です。

どんなビジネスにも必要不可欠なスキルといえますよね。

今回は以上です。ありがとうございました。

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