見出し画像

姉妹百合は信じない1/4

姉が結婚した。

今年の3月に姉からラインが来た。
「お前に言わなきゃいけない」
姉が恋人と旅行に行った翌日だった。
何を言われるか分かった。というか交際している期間を考えて予感はしていた。
速攻で「やだ」「まだいいよ」と返信した。泣いてしまいそうだったからだ。嬉しさや喜びではなく、受け止められなかったから。
「まだママとかにも言ってない…」
と言われて結局すぐ聞くことになったのだが。
どんなことでも誰よりも早く聞いてマウントを取りたかった。予感は的中し、プロポーズされた、返事はオッケーということだった。

泣いちゃった。

ラインでは、籍だけ?とか軽く話を聞いたあとにご飯3合たーべよ!おかず何しよっかなと話を続けた。かける言葉がわからなかった。常識的に考えると一つなのだが、真っ先に思えなかったから。
「祝福してほしい」
その一言が送られて、自分が祝福の言葉をかけていないことに気づいた。

泣いちゃった。

その一言で全て理解したからだ。言われるまで気づかないのもどうかと思うが。これが姉の望む幸せの形なのだと理解した。自分の感情でいっぱいいっぱいになって姉の気持ちを考えられていないことを反省して、お祝いの言葉を送った。「おめでとう」なのかなんなのか自分の感情がわからないまま。

憧れの先輩に恋人がいた事を知った、そんな感覚に近い。失恋のようで、また違う。
手の届かない存在だと分かっていても、誰よりも近い場所にいられると思っていた。
なんで私じゃないの、なんでそんな奴と、でもあの人が選んだ人だ、私ではあの人を幸せにはできない、あの人が幸せになるのなら。
そんな独占欲と喪失感と諦めが入り乱れる中でも、それ以上に、確実に、姉の幸せを願う気持ちはあって、誰よりも幸せでいてほしいし、いつまでも笑っていてほしい。

もうわがままで振り回してばかりの妹ではいられないのだ。

どうも、自他共に認めるシスコンです。
未だに姉が結婚したことを飲み込む勇気が出ないため、感情や記憶を整理していきたい。何もせずにいても消化されるだろうが、知らない間に馴染んでいるのも気持ち悪いし拗れた感情を忘れたくないから、というのもある。

ちなみに姉妹百合は存在しない。残念。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?