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鏡のふたり。

先日、飴さんと訪れた雑貨屋でショルダーバッグを購入した。
普段使いしているバッグが古くなってきたので新調したいと思っていたのだ。
すると、特にバッグが欲しいとか言ってなかった飴さんも同じバッグの色違いを買った。
飴さんはナニゲにお揃い好き。

後日。
私たちはオソロのイロチのバッグでランチに出掛けた。
並んで歩いていると、やけにバッグ同士が当たるのが気になる。
何故か。お互い初めて気付いたのだが、私と飴さんはバッグをかける肩が逆なのである。
そして行きつけのお店で向かい合ってランチを食べ、喫煙者である私たちは食後の一服。
その時、これも初めて気付いた。
煙草を持つ手も逆だ。
バッグはともかく煙草なんていつも一緒に吸ってても全然気付いてなかった。
気付いたのは、というか注目したのは直前にバッグの一件があったからかもしれない。
何でも反対だねーって笑ってた。

そう、私たちは真逆なのである。
何せ性格が正反対。
過去にそんな記事を書いたこともある。

元々どちらも陽気で人から明るいと言われるような性格なので似てるように見える。
が、少し深く付き合うと見えてくる二人の違い。
感覚的で情に厚い飴さんと論理的で理屈っぽい私。
相手の気持ちを考えるあまり自分の気持ちをなかなか言えず、出来れば察して欲しい飴さん。
相手の気持ちを知りたいからハッキリ言葉にして欲しいし自分の気持ちも言葉にしたい私。
後先考えず義理人情で行動する飴さん。
納得する理由や根拠がないと行動出来ない私。

付き合い始めの頃、飴さんとショッピングなどのお出掛けをすると疲れることが多かった。
とにかくめちゃくちゃ歩くからだ(当時はダイエットも筋トレもウォーキングもしてなかったので今より体力がなかった)。
私は予め目的の場所や店を細かく決め、そこに向かって一直線に動くタイプ。
一方飴さんは大まかな目的地などは決めるもののあちこち寄り道しながらぶらぶら歩き、その過程で目的地が変わったりしても良いタイプ。
最初、私は飴さんの歩き方が非効率的に思えて仕方なかった。
が、次第に考え方が変わってきた。
私一人だったら絶対に見つけられないであろう予想外の面白いスポットやお店に何度も出会えたからだ。

私たちは揃って方向音痴である。
私は地図を見て効率的に迷わないように歩こうと思う。方向音痴の対策として。
飴さんは迷うことも楽しんでいる。方向音痴の特権として。

飴さんは誰かに嫌なことをされると、悔しいし腹が立つと言う理由で仕返しとして自分も相手に同じことをしてやろうという思考になる。
そういうやり方は自分を相手と同じところに落とす行為だ、自分の価値を下げないことが一番効果的で疚しさのない仕返しだと私は説く。
飴さんは納得する。


根底の根底、例えば仕事へのスタンス、金銭感覚などの常識的な感覚は驚くほどピッタリ合致している。
その上で正反対の性質。
私に欠けてるピースを彼は持っている。
彼に欠けてるピースを私は持っている。
空いてるピースが埋まる心地よさを知ってしまったら、手放すことなど考えられなくなる。
きっと、お互いに。

鏡にうつしたような、と言うと違う意味になりそうだけど。
並んで見れば逆位置のバッグや煙草も向かい合えばピタリと同じ位置になるように。
私たちはいつも向き合って、反対の相手を見つめているのかもしれない。



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