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経済的かつ合理的な通勤経路とは?意外と奥が深い「通勤経路」の話


こんにちは。私たちは株式会社ナビタイムジャパンで『通勤費管理クラウド』の開発をしています、プロジェクトマネージャーの「肩」と、開発を行っている「すたり」です。

春を迎えるこの時期には、新しい生活を始める方が多く、それに伴って環境が変わることもよくあります。
社会人生活が始まることで新たに通勤経路を考えたり、引っ越しや転勤などで通勤経路が変わったりする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

本記事では、そんな従業員の正確な通勤費をシステム管理できるWebサービス『通勤費管理クラウド by NAVITIME』にて、私たちのチームが開発した新しい機能「通勤経路スマート登録」を開発した際のお話をご紹介します。

開発に至った背景

多くの会社の人事・労務担当者様からヒアリングさせていただく中で、
「通勤経路のチェックが大変」、「ひとりひとりチェックせず、同じ基準で機械的に通勤経路を確定し、通勤費を登録したい」という要望がありました。

そのような要望を受けて、私たちは 一律の基準を詳細に設定できるようにして、明確かつ公平な基準で通勤費を算出できる ようにすることで、お客様の課題を解決できるのではと考え本機能を開発しました。

出来るようになったこと

一律の基準を詳細に設定できるようにして、明確かつ公平な基準で通勤費を算出できると言っても、少しイメージし辛いかと思いますので、ざっくりとどのようなことをしたのかを図とともに説明します。

経路探索を行う際には複数の経路候補が存在します。

この経路候補の中から企業ごとに設定した評価観点と重み付けによる基準を元に合理性をスコアリングして評価、スコアの低い候補を除外します。

残った候補の通勤費を比較し、
一番安い経路を選択し、通勤費として採用できるように対応しました。

開発の際に工夫したこと・気づき

開発の際に一番難しかったのは、合理的な通勤経路をスコアリングするための様々な評価観点を見つけることでした。

通常の経路探索と通勤経路では経路を選ぶ上で重視するポイントが変わってきます。

ナビタイムジャパンでは出発地~目的地まで、複数の交通手段を組み合わせて最適な経路を検索する「トータルナビ(R)」という技術により、様々な経路の候補を算出することができます。
おでかけなどの通勤以外の移動であれば、その候補の中から、利用者がその時の自分の状況に合わせて経路を選択することができます。

経路の一例 様々な経路探索結果から最適なものを選ぶ

一方、通勤に関しては、基本的には決まった同じ経路で通勤することが多いと考えられます。
そのため通常の経路探索とは異なり、状況に合わせて通勤経路を変えることが難しいため、どんなときでも安定して会社に到着できる可能性が高い経路を選択したいかと思います。

私たちは、そのような経路を1つに絞るための観点を1つづつ分解し、指標化していきました。
このnoteでは特に印象的だった要素を紹介いたします。

最寄り駅を使うかどうか

目的地への経路探索をした場合に、タイミングによってはあえて最寄り駅を使わずに行く経路が最適であることも往々にしてありえます。
例えば、少し離れた駅までバスで行って、そこから電車に乗るルートもあります。

バスに30分のって遠い駅まで行ってから電車に乗るルート

しかし、こと通勤経路においては事情が少し変わってきます。
通勤する際には、なるべく安心して・確実に目的地へ到着したいので、遅延リスクはなるべく避けたいと多くの人が考えると思います。
少し離れた駅までバスで行くことで、局所的なタイミングでは早く行けたとしても、渋滞に巻き込まれて遅れるリスクがあるため、最寄り駅を利用するほうが普遍的に良い経路になることが多いことがわかりました。
そのため、最寄り駅を利用しているかどうかをスコアリングの観点に加えました。

最寄り駅を使うルート、歩く時間は少し長いが遅延リスクもなく目的地に早く到着できる

通勤経路のことを考え続けて見えてきた学び

合理的で経済的な通勤経路とはなにかについて、開発チームでサンプルデータを元に様々な要素で重み付けをしながら追求してきたことで、通勤経路におけるスコアリング観点がいくつか見えてきました。
その中でも、下記のような観点があることがわかってきました。

  • 通勤経路にする上で基本的に考慮したほうが良い観点

  • 様々な経路のうち、通勤経路として良いとされる観点

基本的に考慮したほうが良い観点

  • なるべく最寄り駅を利用するようにする

    • わざわざ最寄り駅以外の駅を利用するのは、毎日の通勤に不向き

  • 長時間のバス移動がないようにする

    • 長時間のバス移動は渋滞にまきこまれやすく、毎日の通勤に不向き

  • バスの乗り継ぎは避ける

    • 複数のバスを乗り継ぐのは遅延しやすく、毎日の通勤に不向き

様々な経路のうち、通勤経路として良いとされる観点

上記のように基本的な考慮を施した上で、
様々な経路のうち、通勤経路として良いと評価される観点は下記です。

  • 他の経路よりも歩く距離が明らかに短い

  • 他の経路よりも乗換回数が明らかに少ない

  • 他の経路よりも所要時間が明らかに短い

通勤費管理クラウドでは、上記のような要素をしっかりと盛り込んだ上で良い経路が出るように様々な要素と重み付けを変えてみて、何度もサンプルデータを見比べながらチューニングしました。
その結果「通勤経路スマート登録」機能を使うことで、これまで出せていた経路よりも、通勤経路としての「良い経路」が出せるようになったと考えています。

今後の展望

今回「通勤経路スマート登録」機能をリリースいたしましたが、世の中にはもっと通勤経路を決めるにあたって重視すべきポイントなどがあると考えています。
新たな発見やいただいた要望を元に、更に細かく対応していきたいです。

最後に、この記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。
より手間なく簡単に通勤費を管理できるよう、私たちは引き続きサービスの向上に取り組んでまいります。