「パークアンドライドルート」機能ができるまで
こんにちは、エンジニアの猫じゃらし太郎と、デザイナーのハチワリゴブワレです。2人ともナビタイムジャパンでカーナビアプリの『NAVITIMEドライブサポーター』を担当しています。
今回は、新しくリリースした「パークアンドライドルート」機能についてご紹介します。
パークアンドライドとは?
パークアンドライドとは、目的地手前の最寄り駅や、停留所まで自動車で行って駐車し、そこから公共交通機関を利用して目的地まで移動する方法です。自動車を使う時間が減るため、渋滞緩和や環境に優しいというメリットがあります。
今回の機能では、目的地周辺の渋滞を回避するような、「車から電車へ乗り換えるルート」を新しく提案できるようになりました。
機能説明
利用の流れとともに機能についてご紹介していきます。
1. ルート検索
ルート検索後の結果画面で、パークアンドライドルートがある際にバナーで表示されます。
バナーをタップすると、パークアンドライドルートが検索されます。
2. パークアンドライドルート検索
元の車ルートに加えて、最大3つのパークアンドライドルートが提案されます。ルートをマップ上で確認したり、比較表で見比べたりすることが可能です。
また、駅周辺の駐車場を選択することで車ルートの目的地を変更することもできます。
3. パークアンドライドルート案内
乗車駅またはユーザーが任意で設定した駐車場までルート案内を開始します。
4. 車を降りてからの案内
案内終了後は目的地までのおおまかなルート概要を確認できます。
より詳しい電車の時刻や徒歩のルートについては、バナーをタップして『NAVITIME』のアプリを開くことで確認が可能です。
以上のような流れでパークアンドライドルートを利用することができます。
開発の経緯
今回の機能開発はユーザーの走行ログの分析がきっかけとなりました。
分析する中で、GWや週末などのレジャー時期には、途中まではスムーズに移動できていても、目的地周辺で渋滞が発生してしまい、なかなか到着できないケースが多くあることがわかりました。
みなさんもお出かけの際に「せっかく近くまで来たのに、駐車場に止められない」「帰宅時に混雑して駐車場から出られない」といった経験がある方は多いのではないでしょうか。
さらに調べてみると、混雑している目的地までのルートを電車で行くと車よりも早く行ける場合があることがわかりました。
このことから、当社の強みである、様々な移動手段を組み合わせた経路探索技術を活用して解決できるのではないか、ということで開発がスタートしました。
「車→電車→徒歩」のルート検索の仕組み
続いて、経路を出力するための技術的な部分についてご紹介していきます。
『ドライブサポーター』はそもそもカーナビアプリなので、機能を実現するにあたって新しく電車と徒歩を含むルートを生成する必要がありました。
大まかには以下のような流れでルートを生成しています。
1. 乗車駅候補の洗い出し
まずは目的地まで一定時間内で移動できる駅を洗い出します。この乗車駅を起点としてルートを生成していきます。
2. 乗車駅の評価
次に洗い出された乗車駅を評価します。周辺の駐車場料金・収容台数・周辺混雑度・目的地までの所要時間、などが観点となっており、これらの情報をもとに乗車駅候補をさらに絞り込みます。
3. 「車ルート」と「電車ルートと徒歩ルート」の決定
出発地から乗車駅までの車ルート検索と、乗車駅から目的地までの「電車ルートと徒歩ルート」検索を実行します。
4. ルートの結合
最後に、移動手段ごとのルートを結合し、アプリ上では1つのルートとして表現されます。
様々な移動手段でのルートを検索できる技術をもつ当社だからこそ実現できた機能だと考えています。
納得感のあるルートにするために工夫したこと
上記のようなロジックで、パークアンドライドのルートを出力できるようになっただけでは完成ではありません。
実際に利用シーンを想定してルートを検索してみると、違和感があるルートが出力されてしまうパターンがありました。
① 車で目的地を通り過ぎるような駅が乗車駅となる
1つ目は、車で目的地を通り過ぎる遠回りなルートになってしまうパターンです。目的地を通り過ぎるなら、そのまま車で目的地まで行きたいという気持ちになると思います。
複合的な要因であったため、最終的には、出発地から目的地までを車のみで移動する経路の距離よりも長い車ルートは出力しない、ことで解決していきました。
② 電車区間が短すぎるルートとなる
次は、数百メートルしか電車に乗らないようなパターンです。
電車に乗り換える以上は手間が増えるため、わざわざ電車を使わずに車で直接目的地に行った方が楽という心理になるのではないかと考えました。
このためこちらはシンプルに、電車に乗る距離が一定以下の経路は出さないように変更することで解決しました。
このように、アナログな方法ではありますが、いくつもの利用シーンを想定してテストをしながら改良していくことで、より現実的で納得感のある提案ができるようにしていきました。
UIこだわりポイント
続いて、作成したUIのこだわりポイントを2つ紹介します。
1. ルート検索結果で、パークアンドライドのメリットをお伝え
「パークアンドライド」ルートがある場合、通常のルート検索結果画面にてお知らせします。しかし「パークアンドライド」という言葉ではピンとこない方もいるかもしれません。そこで「車+電車ルートで混雑を回避」と表現を変えてお伝えしています。
また、現在の状況として「目的地周辺の混雑により、車での移動に時間がかかる場合があります」とお知らせすることで、パークアンドライドの有用性を認識してもらえるようにしました。
2. 駅や運賃だけではなく、駐車場料金の相場まで表で比較できる
電車に乗り換える場合に気になるのは、
駅周辺に駐車場があるのか
駐車場料金がいくらかかるのか
車のみに比べて時間はかかりすぎないか
といった点ではないでしょうか。
それらをユーザーの状況に合わせて、車のみのルートとパークアンドライドルートを比較できる表を作成しました。
これらのように、パークアンドライドを知らないユーザーでも、便利に使ってもらえるような様々な工夫をしました。
最後に
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
今回はパークアンドライドルートの機能についてご紹介しましたが、
今後も、混雑・渋滞の回避や、お得にドライブできるような機能の追加など、さらに使いたくなるアプリを目指して改善に取り組んでまいります。