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『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』で、手軽に有料道路料金が自動計算できるようになりました

はじめに

こんにちは「あんだ〜」と「りんご」です。
あんだ〜はナビタイムジャパンで『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』の開発を担当しています。りんごはマップマッチ技術(GPSデータを地図上の道路やルートに正確に一致させるための技術)の開発を担当しています。

先日、当社のSaaS動態管理サービス『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』に走行ログから有料道路料金を自動計算する機能を追加しました。

本機能は、お客様の課題解決の一助になればとの思いで開発に至りました。具体的な内容について紹介していきます。


『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』 とは

このサービスは、配車計画、動態管理、様々な車種に対応したカーナビゲーションなど移動の最適化に特化したクラウド型動態管理システムです。車両の位置情報をリアルタイムで把握し、最適なルートを提案することで、業務の効率化やコスト削減を支援します。

背景

物流業界の課題

物流業界では多重下請構造が一般的で、元請け事業者・下請け事業者間の一元管理が課題となっています。2024年3月の全日本トラック協会からの提言に、トラック業界全体で2次下請までに制限する内容が含まれており、多重下請け構造は制限されながらも今後も継続されていくことになります。
また、2023年4月に国土交通省らが実施したアンケートによると、有料道路の料金に関する適正化とそのコストが大きな課題であることがわかっています。

元請け事業者の課題

下請け事業者のドライバーが渋滞などを避けるために、予定していたルートと違うルートで配送を行った場合、ドライバーの申請した有料道路料金の確認作業が発生していました。
これには平均30分/日、大雪などで多くのドライバーがルートを変更した場合は120分/日ほどかかっているという課題がありました。この課題をナビタイムジャパンが持つ技術で解決できないか?と考え、本機能の開発に至りました。

機能

走行ログから有料道路料金を自動計算

今回追加された「走行ログから有料道路料金を自動計算する機能」は、スマートフォンのGPSを基に高速道路など有料道路の走行軌跡を可視化し、実際にかかった有料道路の料金を自動で計算する機能です。
ナビタイムジャパンのマップマッチ技術と、独自に整備した道路データ・料金データに走行実績を組み合わせることで、高精度で有料道路料金を自動計算できます。
従来のカード明細の逆引きやETC車載器との連動を利用した有料料金の把握方法に対し、走行実績から料金を自動計算できる機能の提供は初めて※です。

※:2024年7月1日、動態管理サービスにおいて、株式会社ナビタイムジャパン調べ。

サービスイメージ

メリット

申請内容の確認業務を効率化

背景でも触れていますが、今まではドライバーが予定と異なる有料道路を利用した際に、ドライバーが申請し管理者が手作業で料金を確認・計算する必要がありました。しかし、本機能を導入することで確認作業が自動化され、業務効率の向上に寄与できます。

正確な料金管理

本機能により、走行ログから正確な有料道路料金を算出できるため、手作業による計算ミスや見落としがなくなり、料金管理がより正確になります。
また、GPSデータからICの通過時刻を割り出すことが可能なため、高速道路を通過した時間による割引(深夜料金など)も自動で反映されます。
そのため、元請け事業者からの下請け事業者へ支払い/下請け事業者から元請け事業者への申請における料金の適正化が狙えます。

簡単に導入できる

本機能は『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』のアプリをインストールするだけで利用できます。ETC車載器などの専用機器の導入は不要で、パソコンとスマートフォンさえあれば簡単に導入できます。

料金を算出する仕組み

料金算出に必要なこと

有料道路の料金を計算するには、
1. どこから有料道路に乗りどこで降りたか、
2. 何時に走行したか(割引対象か)
がわかれば、料金データに照らし合わせて計算できます。

スマートフォンのGPSでは毎秒位置情報が記録されているので、これを道路形状データに結び付けて(マップマッチして)、走行した道路と時間を割り出します。

上記の他に車種や現金/ETCによっても料金が異なりますが、これらは走行ログ(GPS)には含まれていない情報のため、全てのパターンを画面上の一覧表に出力しています。

料金が正しく出ない?

機能を実装しテストをしていた時、期待した料金がでないことがありました。簡単にご紹介します。

  1.  一般道と有料道路が並行している

一般道(紫)を走行している実際のGPSデータ

GPSの測位には誤差があり、ちょうど道路上に測位されるとは限りません。
そのため一般道(紫)と有料道路(青)が並行している場所では、どちらを走行しているか判断がつきづらいことがあります。これが原因で乗り(降り)ICを誤認識してしまい、期待した料金が出ないケースがありました。

これに対し判定精度を高める研究開発を行い改善しました。例えば数点のGPS点列をまとめて見たり、ネットワークの形状を考慮したりといった改善です。それでも判別が困難な場合は、その旨を提示するようにしています。

判別が困難な場合の表示例

2. 有料道路を走行したのに認識されていない?

冒頭に述べた通り、乗り降りICが特定できないことには料金算出が困難です。例えばサービスエリア等でアプリを終了してしまい、それ以降のGPSデータが途絶えて降りICが不明になり、料金計算できないことがありました。この場合は途中までの料金が出るのではなく、料金が出せない仕様となっています。

つい知っている道まで来たらアプリを終了したくなることもあるかと思いますが、有料道路の走行時はアプリをONにしていただけると料金算出が可能です。

料金算出の精度

実際に有料道路を走行してデータを取得し、期待した料金が算出されるか評価してみました。GPSデータを地図にプロットし、どこで乗り降りしたか確認します。そして本機能により自動算出した料金が正しいか、1つずつ確認しました。

結果、96.2%の成功率でした。(79区間中76区間の料金推定に成功)

GPSの測位状況、道路形状によって誤認識してしまうこともありますが、引き続き精度を高めるよう改善をしていきます。

おわりに

『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』の走行ログから有料道路料金を自動計算する機能紹介でした。
実際にお客様から、「この機能があれば有料道路料金の確認をとても速く済ませることができるので助かります」との声をいただくことができました。
本機能が物流業界で働く方の業務時間短縮・人手不足の課題解決に少しでも貢献できればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。