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あなたも気づかずに不正乗車をしてるかも?鉄道のルール違反「折り返し乗車」

こんにちは、i18nです。
ナビタイムジャパンで乗換エンジンの研究開発をしています。

突然ですが、皆さんは乗車券のルールって意識していますか?
私はナビタイムジャパンに入る前はあまり気にしていなかったので、「経路はアプリを信じる!運賃はICカードにおまかせ!」のみで生きていました。

そんな私は小田急の狛江駅という快速急行が停まらない駅が最寄りなのですが、ふと思ったのです。
「快速急行でちょっと通り過ぎてから戻ったほうが早いんじゃないか?」

実はこれ、気をつけないと「不正乗車(折り返し乗車)」となり、払わなければいけない金額より安い金額で乗車してしまい規則違反になってしまう可能性があるのです。
(ちなみに上で出した狛江のパターンは早くならないです。おかげで助かっていました。)

今回は簡単なルールの紹介をしながら、皆さんに少しでも危険であることを知っていただき、気をつけようという意識を持っていただけたら幸いです。

規則違反になる?「折り返し乗車」とは

まずは折り返し乗車とはどんなものかを、私の最寄駅である「狛江」を例に簡単に説明させていただきます。

狛江までの移動の例

このパターンだと「新宿から狛江までの金額を払えばよい」と思う人もいるかもしれませんが、実は「新宿から登戸、登戸から狛江」の金額が必要になります。よって、狛江までの金額しか払わないと狛江~登戸間の往復分が未払いなのです。無意識の部分的な無賃乗車・・・怖いですね。

改札をでなければ金額がかからないと思いがちですが、乗車券購入区間以外は乗車してはいけないルールとなっています。

折り返す経路の案内は不正乗車につながる危険性があるため、当社アプリで経路を探すとこのような経路は基本的に探索されないようになっています。

金額さえ払えば便利なパターンも!

さて、規則違反になるかもしれないと言う怖い話をしてきましたが、金額を払えば規則違反にはなりません。

折り返し乗車が便利になるパターンを2つご紹介しようと思います。

実は折り返したほうが早いパターン


練馬高野台→池袋の経路

こちらの例は練馬高野台→池袋の朝の経路です。

普通に行く場合だと7:25着が最速ですが、石神井公園を経由地に指定することで 7:22着の経路が探索されます。

金額は210円から360円へアップということで、7割増しくらいですね。
金額は増えますが、便利なときもあるかも。

折り返して始発で座るパターン


高田馬場→所沢

こちらの例は高田馬場→所沢の例です。

高田馬場からだと既に混雑していたりして座れないことがありますが、西武新宿から折り返せば西武新宿始発の電車に乗ることができます。

金額は350円から530円へのアップとなり、5割増しです。
運賃も時間もかかりますが、座りやすさを考えると安いと感じる人もいるかも知れません。

折り返してメリットのある経路について

以上2つの「折り返してメリットのある経路」を紹介させていただきました。

今回の経路は経由駅を指定することで探索しており、当社アプリの通常の経路探索では見つからない経路となっています。
当社アプリではルールを考慮し、安心な経路を提供するようになっているのです。

例外的に交通事業者から「乗客の利便性のため折り返しを許容してほしい」と要望を受けた場合には、折り返す経路を提示する特殊な対応を行っています。
このような要望には柔軟に対応し、基本的なルールの準拠とユーザーの利便性の両立も行っています。

折り返し乗車時の注意点として、通常の片道乗車ではないため「折り返しとなる駅で、別途改札の出場および入場を行う必要がある」点が挙げられます。

折り返しなのに金額のかからない例外パターンも

規則上、折り返し乗車が認められている区間もありますので、少し紹介させていただきます。

JRで紹介されている例外区間

アプリでの実際の画像

金額もしっかり東京〜金山間と金山〜多治見間の金額になっており、金山~名古屋間の往復分は除外しています。

もちろん新幹線と特急の料金は別途必要です。
また、名古屋駅で途中下車する(JR の改札を出る)場合は、金山~名古屋間の往復運賃が別に必要です。

2023年2月からの新しい「折り返しなのに金額がかからない区間」

最近追加される事例として偕楽園駅があります。

偕楽園駅は2~3月の梅の開花時期のみ開設される臨時駅ですが、ホームは水戸方面(常磐線下り)しかありません。
そのため上野方面(上り)に向かう場合は、一旦水戸駅に行ってから折り返すことになるのですが、この場合の偕楽園~水戸は除外して計算されるようになると発表がありました。(※2023年2月以降)

2023年1月現在時点では未対応となっていますが、当社アプリでも今後対応予定となっています。

最後に

今回は「折り返し乗車」のリスクについてご紹介させていただきました。
他にもルール違反はありまして運賃というのはとても奥が深いです。
運賃計算のルールは複雑だからこそ、アプリにおまかせというのが一番簡単だと思います。

最適な移動方法を探せるだけでなく、ルールに則った安全な経路を探しやすいというのも経路探索アプリのメリットになると思います。

これからの移動で少しでも「気をつけよう」と思っていただけるようになれば幸いです。

※本記事は2023年1月現在の運賃・料金・時刻の情報です