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新規開通道路を即日表示するために、導入した仕組みと運用効率化

こんにちは、めだかの子です。
ナビタイムジャパンで地図データの配信システムの開発・運用を担当しています。

今回は、新規に開通した道路を開通時間後すぐに地図上に表示できるように導入した仕組みと運用効率化のお話をしたいと思います。

開発に至るまでの経緯

当社では以前から、主要な道路を中心に、新規に開通した道路を極力開通日時に合わせて地図表示されるよう、地図の描画データを作成する時に組み込むなどの施策を行っていました。
しかし描画データはとても大きく、開通のたびに作成し直して更新することは難しいため、地図上の表示にのみ対応できないことも多々ありました。
そこで別の方法で実現できないか検討することとなりました。

実現方法

結論からお話しすると、「開通した道路」のデータを個別に用意して、配信・表示するようにしました。
下記図1のように、通常の地図データとは別に「新規に開通した道路データ」だけを重ねて表示しています。

図1:開通道路の仕組み

経緯でもお話しした通り、従来は開通道路の対応は地図データに取り込んで全て作り直していました。この対応ですと下記2つのデメリットがありました。

  • 総入れ替えを必要とするため、作成・更新に膨大な時間・コストがかかる

  • 開通日の情報を持たないため、道路開通日に合わせて更新を行う必要がある

これらに対し、それぞれ以下のように対応しました。

  • 個別に開通道路データを作成、配信することで上記作成更新時間・コストを減らした

  • 開通時刻データを同梱させることで、開通時刻以降に表示できるようにした

また副次的な効果として、開通道路のみの更新・配信となるため、更新時の通信コストも抑えられています。追加となる開通道路データ分の通信量も増えないように、データは極力圧縮しています。

その上で実際に各サービス開発者に展開し、順次サービスに取り込んでもらいました。

残る課題の調整

サービスに取り込んでもらったのですが、開発者から時々「開通に対応できていない主要な道路がある」という意見をもらいました。確認したところ、運用に課題があったため対応できていない道路がありました。そこで以下のように整理・解決しました。

煩雑な運用フローの整理

「新たに作成した開通道路対応」用のデータは

  • 道路データ運用チーム:開通道路データを作成

  • 描画データ運用チーム:上記データを描画用に変換

の2チームで作成する必要がありましたが、そのフローが複数に分かれており、反映までに時間がかかっていました。
こちらの運用フローは以下図2のように整理しました。

図2:運用フローの改善

道路データ運用チームに作成と検証環境への配置まで実施してもらい、地図データ運用チームで成果物を確認した後、本番環境へ任意のタイミングで反映する、という形にフローを改修しました。
2アクションにまで減らすことができ、反映が滞ることもなくなりました。

おわりに

新規に開通した道路をリアルタイムに地図上に表示できるようにした仕組みと運用効率化の話を紹介しました。
現在では主要な道路を中心に、より多くの開通道路をより早くユーザに届けることができるようになっています。
3月は多くの道路が開通していますのでぜひお手元でご確認いただけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。