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情シスがPC受け渡しを、Slackとダイヤルロッカーで無人化してみた

こんにちは、ごまちゃんです。
私はナビタイムジャパンで情報システム部門(以下情シス)に所属しております。本日は、今年情シスで用意した、ダイヤルロッカーを使ったPC受け渡しシステムについてご説明いたします。

PCリプレースについて


まずナビタイムジャパンでは、PCリプレースに関して
3年以上の利用、および業務に支障を来す状態の場合は申請可能
と規定しており、実際に利用可能なPC一覧を社内に公開しております。
Windowsであればすべての社員が32GBのメモリを積んだPCを。
MacであればM2チップを搭載したPCを申請可能です。

社員からは、開発業務に大きな影響を受けないまでも、経年使用によるパフォーマンス劣化やバッテリーの機能低下でご相談をいただくこともあり、これらの申請に対して、基本全てリプレース対応を行っております。

背景として、開発者が端末の不具合でストレスをためることは、開発効率の低下に繋がる恐れがあるためです。情シスでは常に社員へ最高の状態で開発できる環境を整えるために社内規定を整備し、常に十分な在庫を確保してリプレース対応を実施しております。

課題

ナビタイムジャパンでは、2020年から新型コロナウイルスの影響で、在宅環境での勤務体制を余儀なくされました。これまで週5日のオフィス勤務から在宅勤務へと変更することで出社数が少なくなり、情シスではリプレースPCの受け渡しが大きな課題となっておりました。

これまでは、このPCリプレースの際に、情シスの担当者が手渡しで対応しておりました。これは間違ったPCを渡してしまうリスクや、万が一の紛失を防ぐのが目的となります。

しかし在宅勤務の影響で情シスの不在が多くなり、情シスのメンバーが帰宅後にPCを取りに来てしまい、受け渡しができないケースが多く発生しました。それを防ぐため社員は受け取り時に情シスが在席しているかを確認し、お互いが在席するようにして受け渡しを行う…という時間の拘束が発生しました。

こういった時間の拘束を防ぐため情シスが不在でも、社員がPCをいつでも受け取れる仕組みを構築しました。

実現に向けてのアイデア

今はマンションに宅配ボックスが多くあり、また「Amazon Hub」と呼ばれる受取ロッカーも市中に多く存在します。宅配便の多くはこのようなロッカーで受け取りを行っており、社内でも同様にPC受け渡しをロッカーで行えないかと考え調査しました。

ロッカーは電子ロッカーとアナログロッカーの2つに大別されます。初めは電子ロッカーを調査したのですが、費用面と認証カードを忘れたときの運用が煩雑になることから、アナログロッカーを採用しました。

利用者数を考え、以下のようにPC8台を同時格納できる物を購入しました。
各スペースに4桁のダイヤル暗証番号を設定してPCを格納し、相手に個別に暗証番号を渡すことで、安全なPCの受け渡しが可能です。

受け渡しのフロー

当社ではSlackとGoogleWorkspaceを業務基盤として利用しており
今回のロッカー受け渡しシステムも、Slackワークフローとスプレッドシートのみで構成しました。

情シスから見た利用方法

リプレースPCをセットアップした後、Slackの受け渡し用チャンネルで
ワークフローを起動します。ワークフローに対話的に受け渡す社員ロッカーの格納番号ログイン情報を入力すると、ワークフローからロッカーに設定すべき4桁の暗証番号が発行されます。

この暗証番号を使って、ロッカーにPCを格納することで情シスの作業が完了します。ここで情シス側の対応が完了する、というのが非常に大きいです。

社員から見た利用方法

情シス側の準備が終わると、受け渡す社員のSlackbotに、ロッカーの格納場所、暗証番号、取得手順の動画が届きます。
Slackbotの情報で、社員はいつでもPCの受け取りが可能となりました。

受け渡し管理用スプレッドシート

すべての受け渡し状況はスプレッドシートに記載され、受け渡し時間やPC取得の有無がリアルタイムで更新されております。
また、未受領者を定期的に情シス用のSlackチャンネルに通知し、再通知も簡単に実行可能です。

管理用スプレッドシート
未受領人数を定期的に通知

社内へのアナウンスと、導入したメリット

社内へのアナウンスを行ったところ評判も良く、ロッカー経由の運用が定着して受け渡しに関するコストが完全にゼロになりました。

セットアップされたPCがロッカーに格納され、安全に暗証番号が受け渡せることで、社員が自分のタイミングでPCを取得できる環境が整いました。すでに9ヶ月間で200回以上の受け渡しが実現できております。

今まで1回の受け渡しで、お互い5分間の時間を拘束していたと考えると
こちらのロッカーの運用で合計2000分。なんと全社的に、9ヶ月間で約33時間の時間を削減することができました。しかもかかったコストはロッカー購入費用のみで、今後もランニングコストはSlackとGoogleWorkspace以外に費用は発生しません。

今回、今まで当たり前に対面式で行ってきたPC受け渡し業務を、ロッカーを使って非同期 / 非対面式 に作り変え、社内全体の運用改善を図ることが出来ました。今後も同様に社内の運用をITツールの力を借りて見直し、会社全体の生産性向上に寄与できればと思います。