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十一月 空は雲一つない快晴 窓から富士山がキレイに見える 昨日、部屋干ししたままの洗濯物を…
秋 途絶えた日記帳の 白いページの中から 突如 神の化身の如き数頭の馬たちが駆け出して ぼく…
水しぶきや歓声がそこら中でしていたのに 鉛色の雲に雷鳴が響くと ぼくらは二人きりになった…
月光の海の その無音の群青に いつまでも身を浸していると 魂はいつしか 降り注ぐ光の矢から …
Skypeを待つあいだ 火山が噴火した 遠い国にいる君も この国にいる僕も その音を聞かなかった …
何が 春に終わりを告げたのかは 誰も知らない ただ 初夏の風が 手紙のように届けられ …
古代美術に触れ その作者にまで想いを馳せる人は稀だ まるで宇宙の創生から すでにそこに在ったかのような 慎ましやかな 作品(もの)たち 一体、これまでどれだけの人間が この星を 通り過ぎて行ったことだろう? 無名性に没し その歓喜や苦難の 一切を語らずに ☆ How?の前に Why? 人はとり憑かれたピアノの調律師のように 幻の絶対音程に近づこうとする※ と ハンス・コパーは言った だが 聴診器をあて探り当てたのは 狂った音階ではなく 不思議な形をした 自身
轆轤(ろくろ)を楽器にして 独自のフォルムを奏で続けた手 <いや、違う アルビオン・ミューズ…
美しいものを見るためには 身をかがめねばならない フンコロガシのフォルムに見惚れた アンリ…
市街地の真ん中の 発掘現場に 古い溝が出てきた 大人の背丈より 深く 飛び越えら…
空のミュージアムから 落ちてくる笛の音(ね) あの羽根の色を模写したい そのノートから 同じ…
おやすみは“お休み” 目覚めていると結局 心は忙しく働いてしまうから 夜 自分の居場所は…
焚火のあとの灰の中の 熱い蛍火に 風をはらませ 今一度 燃え上がらせてみようと してみたりし…
霧煙る 広角の黄色い荒野に 老いた精霊が少年を誘う 迎え火の日に それは生のありふれた暗い空間から 快活に精神が解き放たれる夏 汗をかいて夏は 森を 小学校のグラウンドを 音符のように走り回る やがて 夏は疲れると きまって神社の境内で眠りこける ひぐらしの潮騒が ゆっくりと耳に満ちて 命の揺らめきが凪ぐ一瞬 その時 精霊の手が闇から伸びてきて 生の頬を捕らえる と いうのも 甘やかな汗の匂いに 死が 命の日の夏を 懐かしんだため 印象派の夢の中に お前を連れ去るもの 足