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新型コロナウイルス感染症対策に伴う代替乗船実習 -東海大学の取り組み-

日本航海学会『NAVIGATION 214巻』pp.78-83 2020年10月

要旨

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、4月4日から東海大学の構内および関連施設への学生の立入が制限された。これに伴い、清水港に停泊中の海洋調査研修船「望星丸」で乗船実習を実施していた乗船実習課程航海科練習生(以下、練習生)全16名に対しても同様の処置を講ずる決定がなされ、4月9日に一時下船し、自宅にて乗船中の休暇日に充てる措置が採られた。他方、4月16日に政府による「緊急事態宣言」の発令が全国に拡大され、4月30日には、国土交通省海事局から通達「新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校卒業者に係る乗船実習の取扱いについて」が発出された。そこで、本学では練習生に対して乗船実習の代替処置を採る事を決定した。本稿では5月11日から7月22日までの間に取り組んだ遠隔による代替乗船実習の内容を紹介する。今回の代替処置により乗船実習として振り替えた時間数のうち、講義・実習分の282.5時間を遠隔で行い、航海当直分の内の136時間については操船シミュレータを用いて現場で機側作業にあたる練習生を遠隔地にいる練習生が指示して操船するといった新たな試みを実践した。

実務海技士が海を取り巻く社会科学分野の研究を行う先駆けとなれるよう励みます。