吐息とコーヒー
白い吐息とコーヒー。
茶色のコートに黄色のマフラー。
遠くの街灯と少しの幸福が混じった溜息。
雨上がりのアスファルトと濡れた街路樹。
寒い冬の中に確かに春を感じている。
耳に流れ込むピアノの音と足音。
人気のない公園と煙草の匂い。
私が美しいと思うものはいつも身近にある。
美しいものや芸術に心打たれるのはきっと
人生の中で傷を負った心が癒しを求めるからだと思う。
痛みや辛さを知らない人は心を強く打たれるような素晴らしさを深く味わえないかもしれない。
私の心は強くない
でもその分、美しいと思えるものを心に映して
少しだけ見たくないものから目を逸らしていたい。
白い吐息とコーヒー。
それだけで人生は彩られる。
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