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LFG30(ガラス繊維強化PLAフィラメント)設定例

Nature3Dで扱っておりますフィラメント、LFG30(ガラス繊維30%添加PLA)の3Dプリンタ設定例をご紹介します。こちらは上級者向けのフィラメントとしてご紹介させていただいておりますが、普通のPLAとかなり挙動が違うこともあって使いこなしに苦労されている方もおられますのでまとめとして公開させていただきます。うまくいかないときに考えるヒントとしてご利用ください。

まずはプリンタ側。2~3時間程度であれば問題ないのですが、長時間稼働の場合はノズルとドライブギヤを耐摩耗性のあるものに交換されることをお勧めしています。

*ノズル

少し値段は高いですが、Nature3Dはルビーノズルを使用しています。同一のノズルを継続使用していますが、今のところLFG30で200時間近い造形を行ってもノズル摩耗の兆候は見られません。ノズルが摩耗した状態で継続使用していくと、ノズル径が広がって線がかすれたり、先端が減ってベッド定着が悪くなったりすることがあります。軽度の場合はスライサの設定で補うことができますが、摩耗が進行していくと条件が再現できなくなってきますのでご注意ください。

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*ドライブギヤ

吐出の抵抗が高いため、材質が真鍮やアルミ製のような柔らかい材質だったり、形状的にフィラメントの食い込みが悪かったりすると削れてしまい送り出しがうまくできないことがあります。Nature3Dでは小嶋技研のドライブギアを使っています。ステンレス製です。当方はうまく送り出せなかったので交換したのですが、こちらは使えればそのままのものでもいいかもしれません。

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プリンタ自体は一般的なものが使用できます。注意点として、LFG30は剛性が強いフィラメントのため、ボウデン式の場合はチューブの取り回しがきつい機種だと送り出しの抵抗になってしまい、うまく吐出ができないことがあります。エクストルーダーからホットエンドまでのチューブ経路がゆるい円弧状になるように取り回しを変更すると抵抗は少なくなります。どうしても難しい場合はダイレクト式プリンタであればこの問題は解消できます。

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続いてスライサ側の設定です。Simplify3Dの画面でご説明します。環境が個々で異なりますのでこうすれば必ずうまくいくというものではありません。あくまでNature3Dの設定ですので、うまくいかなかったときに考える際のご参考程度にお願いします。

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まず押出の設定。実際の線幅がノズル径より細くなる傾向があります。Extruder widthは少し下げ目でいいかと思います。LFG30に限らず繊維強化樹脂は細いヒゲがやや多くなる傾向があります。指やナイフで簡単に取れるため最小限の設定にしていますが、気になるようであればRetraction Distanceを少し上げ目にしてもいいかもしれません。

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レイヤー設定。Layer Hightは0.15が上限です。LFG30は吐出後すぐに固化するので、これ以上上げると吐出がグネグネになってしまい、外観や層間密着が悪くなることがあります。ファーストレイヤーのFirst Layer Heightは65%とし、ものすごくベッドとの間隔を詰めています。吐出後すぐに固化するため、こちらも同様に通常の条件だとベッドに定着できないための対策です。First Layer Widthは400%とかなり大きく取って、線と線の間をわざと空けて吐出するようにしています。通常の条件だとあまりにベッド密着が強くなりすぎて剥がせなくなるための対策です。取り外しできる造形用のシートをお持ちの方はこの辺りは見直してもよろしいかと思います。

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インフィル。通常のPLAから変更しておらず、こちらは特記はありません。

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サポート。LFG30は材質として硬く層間密着が強力なため、サポートが取りにくい傾向があります。そのためそれぞれSupport Infill Percentageを20%に、Dense Infill Percentageを55%に下げています。

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ノズル温度。ファーストレイヤーだけ食いつきをよくするため240℃にしました。それ以降は230℃です。感覚的なものなので意味はうすいかも。ずっと固定値をセットでもいいかもしれません。

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ベッド温度は35℃。ベッド加熱は最小限でいいと思います。収縮がとても低い材ですので冬場でもベッド定着は良好です。

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吐出後すぐ固化し、ダレが少ないのでファンはOFFとしています。この辺りは造形状態を見ながらお好みでどうぞ。

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最後にスピード。Default Printing Speedは60mm/s。一般的なPLAとほぼ同じです。

もしうまくいかなければお問い合わせフォームツイッター(@nature3d_)でもご相談お受けしますのでお気軽にお声がけください!

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