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その1貨物新幹線と鉄道組織について[5]

5、その1貨物新幹線と鉄道組織について

どーも、鉄道会社の総合職の人、です。

貨物新幹線と鉄道組織について

ご紹介させていただきます。

以下最近のニュース二本。

「貨物新幹線構想」は復活するか? JR東日本が実験をスタート


九州新幹線で本格復活? 「幻の貨物新幹線」中止後もあった新幹線の郵便、貨物輸送計画



1、新幹線とリニア

 この国には人口増大時代に作った巨大インフラが多数あります。

人口減少時代には頭を使ってそれらを利用しなければなりません。

その一つに東海道新幹線があります。

この巨大装置は、2020年その営業エリアにおける名目GDPは66%、JR東海の収入のうち92%を支え、国内における最重要インフラの一つです。

2020年からのぞみ12本ダイヤの運転が予定されていました。これを主にしてリニア新幹線という巨大投資、大工事にJR東海は官民連携で取り組んでいます(2020/6/21の時点では某県とすったもんだしていますが)。

しかしながらリニア開通後の東海道新幹線の利用については考えなければならないこともあります。

少なくともリニア開通に伴って列車の本数は減るでしょう。

大阪―東京間ならリニア、それ以外は東海道新幹線となり、大阪-東京間の移動においては“東海道新幹線”の利用は不便になるはずです。

 少なくなった列車本数に対してその隙間を有効活用する手立て、それが解決する諸問題、取り組まなければならない課題、鉄道マンのメンタルとあるべき姿等から「貨物新幹線」を中心に考えていきたいと思います。

2、東海道新幹線発足段階において


 1960年頃、「貨物新幹線」に関することが記載された書類があります。しかしながら東海道新幹線開業後、旅客需要の増大によって白紙になり、今では一部で行われている程度です。

当時の計画では2パターンが考えられていたとされています。コンテナ新幹線と新幹線宅配便です。

コンテナ新幹線とは、現在の在来線貨物列車のコンテナをそのまま新幹線に載せ換えるといったものです。

新幹線宅配便は現在の宅配業者が使っているボックスを新幹線に乗せるものです。

以下、実際に検討してみることにします。しかしここではすべての情報を網羅しているわけではありません。

ここでのデータは事実と異なります。無断転載、出展記載の上の引用はできません。

記載内容の利用、または利用できなかったことにより何らかの損害、損失が発生したとしても、一切責任を負いません。


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3、既存のハードの対応性


 まずはこの取り組みについて既存のハードに対して貨物を積載した新幹線が走行した場合についていくつかの点を考えてみましょう。

まずは重さについてです。新幹線に貨物を積載したとしてその許容量を見ていきます。

新幹線の積載能力については少なくとも1両当たり9トンを積載できるとします。これは旅客の乗車率200%時を概算したものです。

1軸あたり16t(1両あたり64t)まで耐えられるとして試算する方法もありますがこれだと容積が膨大になって不可能と考えられます。

 もう一つは行き違い時の速度についてです。

よく言われるトレイン・オン・トレイン方式【青函トンネルで検討されていた(いる)方式】だとすれ違い時には速度を下げるといった方法をとりますが、それに関する技術開発、保守等のランニングコスト、速達性等の点から適するのかは怪しい部分があります。

その点、外側は旅客列車と同じにして座席を取っ払うことで見た目は既存の新幹線、中身は全部貨物。

こうすることで行き違い時の騒音、風圧、速度低下等の問題も解決され、旅客列車改造の場合、冷房完備であり、設備強化できればクール便も可能かもしれません。


4、経営上成り立つか、費用と収益の話


 東海道新幹線の料金は3パターンを考えます。繁忙期指定席料金、自由席料金、新幹線定期の3パターンです。

繁忙期指定席料金は14000円、自由席料金13000円、新幹線定期6500円。1列車1300人として1両当たり9トンを積載できるとします。すると繁忙期129円/kg。自由席120円/kg。定期59円/kgとなります。

航空運賃と比較すると自由席でわずかに、定期で倍ほど料金に対して差をつけて利益が出ることになります。これなら航空機より安く競争優位であり、現状の価格設定範囲の中で利益を上げることも可能であると考えられます。

5、長距離ドライバーの労働環境問題


 長距離ドライバーの労働環境問題について考えていきましょう。トラック運転手の労働環境は想像通り過酷そのものです。

一般的な労働時間が170時間/月といわれる中で、250時間/月、1.5倍働いています。また拘束時間も極めて長く、肉体的にも精神的にも苦しいものです。さらに近年の宅配量の増加、さらにそれに拍車をかけるステイホームに伴う巣ごもり消費の拡大等さらに厳しくなるであろうトラック・宅配業界の光となるのではないでしょうか(2020コロナウイルス蔓延によるもの)。

彼らが運転する時間の1/3で貨物新幹線は運転すると考えると業界に対するインパクトは計り知れないはずです。

その2に続く

おわり

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