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#10 苦しみ(くるしみ)はのみものです






憂鬱な朝




なんだか気力が湧いてこない




こんな気だるい朝を




あと何日




迎えなきゃいけないのかと思うと





途方に暮れる




ああ




くるしいな





つらいな…





私は重いからだを引きずって





キッチンへ向かった




すると




変なねこが




ミキサーで何か作ってる







何?どゆこと?




思考が追いつかない私を尻目に





変なねこは





ミキサーのスイッチを入れた






ブォオオオオォン!





その瞬間





その音にびっくりしたからなのか




なんだか




体のだるさなんか




どうでも良くなって





勢いよく掻き回されるなにかを





ただぼんやりと眺めてた





変なねこは鼻歌まじりに




コップにへんな飲み物をうつして




私に差し出した




え?




これを飲めって?





こんな得体の知れないもの





飲めないよ…





という思考がよぎる前に





わたしの身体はそれを飲んでいた






うげー





なんだかわからないもの




飲んじゃったじゃん!





忙しくさわぎたてる思考をよそに





なんだか





しずかなあたたかさが湧いてきた





そのあたたかさに浸っていると




心の奥でこえがした




『ねえしってた?



くるしみって




のみものなんだよ』




え?のみもの?





『ほら


よくいうでしょ


〇〇はのんでも


のまれるなって』




あ、そういえば




私、くるしみにのまれてたんだ





何だか妙に腑に落ちたわたしは





コップのなかの残りをしずかに




のみこんだ





『そうそう



くるしみって



のみものなんだよ




よーく味わってのんでね






大丈夫





わたしに





消化(しょうか)できないものなんて






ありませんから』





そのこえが





わたしのこえなのか




変なねこの声なのか




わからない





くるしみ(?)をのみこんだわたしは




おもむろに歩きだし




何となく窓を開けた





外からは





やわらかい陽の光が差し込み





あたたかい風がからだの中を





すり抜けて行った




あまりの心地良さに




ここに





永遠にでも





居られるような気がした





『ほらね




わたしに




昇華(しょうか)



できないものなんて




ありませんから』





どこからともなく





きこえてきた声をよそに






ただただ溢れ出すあたたかさを感じていた






囁いてたのがだれのこえなのかは





わたしには





知る由もない









#宇宙をかけるねこ

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