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ひと気はなかった。沈没した心に喰い込むように、波は揺れている。灯台は柔らかな光を放つけれど、こちらには届いてはくれない。あたり前だ、私は砂の上に佇んでいるのだから。 コウイチは高校一年生の中でも、背が高く大人びてみえた。でもよく見ると顎のラインや肩の細さが大人にはなりきれていない。 去年まで中学生だったのだから、仕方ない。その事実に気づく都度、恐ろしささえおぼえる。 未希ははじめてのクラス担任だったせいか、いつもアタフタしていた。そんな時、どこからかコウイチが