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いちごが描かれたとびらに手をかけた。開かない。 これで、10のとびらに拒否されたこととなる。 赤地のドアには、あまだれ型の小窓がたくさんついている。のぞくと、薄紅色のなにかが揺れていた。それは輪郭すらつかめない砂漠の画であり、空気の痕跡のようだ。 私はあちら側にいきたい。 いちごは、やすらぎであり、毒を吐き、勇気をもらえる存在だ。なによりも、子どもの頃からの夢。私は、いちごになるために、ここまできたのだ。 だが、いちごのとびらは、私をたやすく受け入れては