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短編

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2020年4月の記事一覧

世界崩壊の五秒後に生まれて

 私は世界崩壊の五秒後に生まれた。その時私は両親に抱かれていたらしいが恐ろしい事に両親の…

17

魔王を倒せ!

「純太よ、よく聞け!お主がワシの弟子になってから早十年、もはや教えるべき事は殆どなくなっ…

23

コロナ時代の愛

 コロナウィルスは全てを引き裂いてしまった。家族を友人を、そして恋人たちを。しかし我々に…

25

隣の席の彼女

 9時のチャイムが鳴ると三角商事東京中央営業所の社員は一斉に立ち上がった。そして鈴村課長…

24

動物番組

「はい、今週も始まりました。『宇宙わくわく動物ランド』でーす。今回はジャーン!宇宙の果て…

18

学園物語

「なんだよ!オマエこんなことまで来て説教かよ!さっさと出て行けよ!ここはオマエのくるとこ…

16

四月にサヨナラを告げて

 平次は四月から自宅待機していた。別にコロナのせいではない。ただバイト先からあまりにも使えないためクビになったのである。しかし彼はこれで朝の通勤も楽になったと喜び喜んでクビの宣告を受けたのだった。それから特に何をするという訳でもなく、ただ毎日テレビやスマホの動画を見て一日を過ごしいた。 しかしそうやって無為に一日を過ごしているとだんだん何もする気にもなれなくなった。そしてとうとう平次は一日中寝ながら過ごすようになった。家賃の催促に管理人がドアを叩いても平次は布団から出なかった

蘇れドラゴン!

 闇夜の中、火で炙られた鍋に向かって村人たちは藁にもすがる思いで一心に祈りを捧げていた。…

19

訳ありの男女

「訳ありなんです。だから何も言わずこのまま泊めてください」  男女二人連れがフロントにや…

36

恋人たちの非常事態宣言

『ゴメンネ、かっちゃん。コロナだからしばらく逢えない。なんか最近咳がでてて。もしかしたら…

23

追っかけバカ一代

私がデビューしたてのアイツを見たのは高校生の時だった。モノクロのブラウン管の中のアイツは…

24

本ロス

「どうしたんですか?いつまでも古本屋さんね前に立って!あの、ニュースでも流れてるでしょ?…

21

人形とアヒル

私が通っていた小学校への通学路の途中の川沿いの道端に人形を作って売っているお小さな店があ…

19

九十五の昼

 盗んだ杖で走り出した九十五の昼だった。俺はもう家族の束縛が嫌だったんだ。いつまでも人を老人扱いする奴らから逃れたかったんだ。自由に行きたいそんな決意で俺は七十一の息子の杖を盗んで家出したんだ。久しぶりに感じた外の景色は美しかった。そこに俺は本物の自由を感じた。何故か尋常小学校の卒業式に窓ガラスに石投げつけて割りまくった事を思い出した。もう一度あの頃の刃物のような俺を取り戻したい、そんな気持ちで石ころを拾い、大嫌いな近所の七十五歳のババアの家に石を投げようとした時だった。息子