草を刈る

この夏、ついに芝刈機を買った。
と言っても片手で握る小さいもので、ティッシュ箱くらいのサイズと言うとイメージしやすかもしれない。

それまで私の芝刈りと言えば芝刈りハサミで、一時間必死にチョキチョキやっても大した範囲刈れない。
その割に、背中・肩・肘・手首、全部痛くてたまらなくなり、手の指にはいくつも豆ができてそれもまた痛かった。
ひと夏終わる頃には、何度も豆が潰れたそこはタコみたいにカチカチになってて、冬の間にまたゆっくり元に戻るの繰り返し。
それをもう何年繰り返したか。

見かねた家族が、今年急に芝刈りをポチってくれた。この猛暑のなか庭でうつむいて永遠チョキチョキやっている狂人がいると近所の噂になるのが怖かったのかもしれないが、見かねるの遅くない?


芝刈機の導入は、まさに革命だった。
我が家に起こった産業革命。
手動が電動になると、こんなにも時間は短縮されるのか。こんなにも労力が要らないのか。

私が一週間かけてチョキチョキやってた庭の芝が二時間もあれば完璧に仕上がる。
私がちまちまとチョキチョキやってたあの数年はなんだったのか!感動すら覚える。


チョキチョキの夏はもう来ない。
芝刈機を充電器に差し、冷房のきいたへやから庭を見る。美しい。
チョキチョキの夏はもう来ない。


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