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夏が好きだ!って走り出したい

猛暑を通りこした酷暑なんて言われるようになった今日この頃。「夏が好き」と無邪気に言いづらい空気を感じてしまう。

夏が好きでも暑さは苦手で、毎日毎日ぐったりするような気温に、息をするだけでもせいいっぱい。何もする気が起きず、よくわからないものに対して理不尽な怒りさえ覚えてしまう。

暑さに強いわけではないし、キャンプにスポーツにと活発に動き回るアウトドア好きな人間でもない(むしろ、エアコンの効いた涼しい部屋でずっと本を読んでいたい)。でも好きな季節を聞かれたら夏だと答えるんだと思う。

夏のイメージで真っ先に浮かんでくるのは、母方の祖母の家だ。

祖母が飼っていた白い猫と弟と、汗びっしょりになりながら日が暮れるまで裏山を走り回ったり、

畑でとれたての新鮮なトマトにかぶりついて顔中真っ赤にしてみたり、

広い押し入れを秘密基地にして、こっそりおやつを食べたり、

夜になったら蚊帳に囲まれた布団の中で、お姫さま気分を味わってドキドキしたり。

ああ、私は日常から離れた夏休みの、いつもとは違う自由で開放的な空気が好きだったんだ。

祖母の家は車で一時間くらいで毎週のように遊びに行っていたから、夏以外の思い出もたくさんある。

夏休みの思い出だって、遊園地や海水浴にも行ったし、広島から遠く大阪に住む父方の祖父母の家に行く大冒険もした。それでも、夏といえば母方の祖母の家が一番に浮かんでくる。

学校に行かずに好きなことだけしていた楽しい時間。自宅以外に泊まるのも新鮮だった。何をしてもやさしく見守ってくれる祖母に見守られながら、疲れるまで遊んでいられた日々が大好きだった。

あの頃に戻りたい、懐かしいとうらやむ感覚は不思議となくて、ただただ楽しい思い出として私の中に残っている。胸が弾んでどこかへ走り出して行きたくなるような、あの時の気持ちがずっと心の中にあるから、私は夏が好きなんだと改めて気づいた。

ちなみに宿題にはギリギリまで手をつけない子どもで、毎年のように夏休み終盤は泣きながら宿題と格闘していた苦すぎる思い出もある。

それでも、どこか非日常的でキラキラして見える夏のことがやっぱり好きだ。

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