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冬の馬・六月の春
2024年7月20日 15:33
はじめに 『トラペジウム』はわかる限りでは、かなり精巧に計算されている作品だと思う。演出の面でも些細な点まで入念だ。 たとえば、与えられる情報が、主人公、東ゆうの視点から得られるものにできるだけ絞られていること。そのためにかえって彼女は露悪的に描きだされることになる。けれどもその露悪的な描写の隙間を縫うように見る側で観察していくと、言い換えると、彼女のバイアスの向こう側をうかがってみようとす