アニメ×ゲームハッカソンに参加してみた話
nattuhanです。
この土日(7月2日~3日)で表題の通り「アニメ×ゲームジャム supported by Unity」に参加し、ブラッシュアップ期間のバッファが金曜日まであるため、まだイベント自体は終了していないのですが、
記憶の新しいうちに振り返り記事をしたためておこうと思います。
作品の公開自体は来週日曜日に生配信とともにされるそうです。公開され次第またリンクを追加しようと考えています。
しかしながら、コメンテーター陣・メンター陣ともに豪華な顔ぶれですよね。
(イベントの詳細などの参加者しか知りえない情報については、どこまで公開していいのかわからないため、大まかに流れを書いていきます。悪しからず)
イベントの大まかな流れ
一週間前(6月22日) メンター陣による2時間(!)でのデモ
こちらは一般向けに公開されておりますがメンターの皆様が2時間でアニメーションを作るデモ配信を行ってくれました。
短い時間ながら、モーキャプに取り組まれていたり、AnimeToolBoxというUnityがアニメーション制作会社さんと協力しながら開発を続けているツールについての使用感を確認することが出来ました。
AnimeToolBoxというツールについてはこちらで大前さんがお話されている通り、リアルタイムレンダリングエンジンとしてUnity上で3Dと2Dを組み合わせながらアニメーションを作る上で、便利な機能がたくさん入っているツールとなっています。
(※まだ一般向けには公開されていない、開発中のパッケージとなりますが、特別に今回のハッカソンで提供されることが共有されていました)
前日(7月1日)
前日にはクローズドな形で、主催のAnicさんからイベントについての概要と、主にメンター様の方から、参加者に向けて「使ってみませんか」という形で2つほどツールについての簡単なレクチャーがありました。(自分は用事があり参加できなかったため、翌日のイベント開始前に急いで早送りで確認しました)
前述のAnimeToolBoxとバージョン管理ツールであるPlasticSCMなのですが、これは後述する通り、自分はどちらも利用しませんでした。
当日1日目(7月2日)
イベント概要の説明と、アイスブレイクからチームビルディングを行いました。事前に出されていた企画に対して任意で乗っかっていく形になっており、自分も企画を出していたのですが人が集まらず、結果的に面識もあった方の企画に乗っかることにしました。
最終的にチームは4人となり、ゲームエンジニア枠が2人(自分含む)、アニメーター枠として2人といった形になりました。
それぞれの担当はこんな感じでした。
自分:Unity周り
エンジニア枠の方:元企画・Unity周り
アニメータ枠の方①:コンテ・ディレクション・2Dパートなど
アニメータ枠の方②:環境アセットやプロップなどの準備(≒モデラ―)
偶然ではあるのですが、メンバーの得意分野などがそれぞれ異なり、(とはいえアニメータ枠の方に負担が偏ってしまいましたが…)かなりいい連携で進めることができました。特に映像系での経験のある方にコンテから全体的なディレクションまでみていただいたことで、Unityをひたすら触るだけのプレイヤーとしては非常にやりやすい環境でした。
そしてメンバーとの話し合いの中で、前日にレクチャーのあったツール2つについて「今回は(少なくともこの土日では)メインで使わないようにしよう」ということを決めました。「やりたいこと・表現に必要でなかった」、「自分が前日に参加できず、キャッチアップが終わっていなかった」、「ツールの学習コストに割くだけの時間がないように感じられた」と、いろいろと理由はあげられますが、きちんとツールを活用して作品を作っているチームもあったので本当にすごいな…と感じます。
午後にさしかかるあたりで企画から映像の全体の流れを決め、動画の前後半で2Dと3Dで表現が大きく変わる映像作品にしようという方向性が見えてきました。
自分はエンジニア枠ではありましたが、3Dでのキャラクター・カメラ制御には自信があったため、後半でのカットでTimeline×Cinemachineでコンテを再現していく役割と、キャラクターモデルやポーズ・モーションアセットなどを見繕う役割を主に担いました。
もちろん2日間で3Dアセットを自作するのは無理だとわかりきっていたので、キャラクターモデル・環境モデルなどはアセットに頼りまくりました。キャラクターモデルはBoothやVRoidHubで無料かつ規約的に問題のないモデルを探しましたが、探してみると非常に高品質なモデルが多く、画面に映すだけでシルエットで映えてくれるモデルが多いことに驚かされました。
とはいえすべてをそのままとはいかないので、一部カラーリングなどを考慮しテクスチャを改変したり、シェーダーを合わせておく上でセットアップを調整したり、揺れ物のセットアップなどはアセットを使ったりしました。
下のモデルは今回利用させていただいたモデルで、ローポリながらも非常にかっこいいシルエットになっています。ポーズを取らせても全く破綻がありませんでした。本当にモデリングがうまい人が作るローポリモデルいっちばんすき。
というわけで、基本的に1日目はTimelineを組むことはなく、環境構築とキャラ周りのセットアップで終わりました。
当日2日目(7月3日)
2日目は朝の早い時間にコンテ担当の方がすばらしい絵コンテをあげてくださり、それをもとに作業するだけ!という環境になっていました。
ですので2日目は朝から19時の中間発表のタイミングまでずっとUnityでTimelineを触っていました。
今回モーションも手付が厳しいとわかっていたので、VRChat向けのポーズ集アセットなどを活用し、ポーズとポーズをTimelineでブレンドし、カーブをいじって緩急をつけ、動きの説得力は揺れ物に委ねる、といった形でキャラの動きを作っていきました。
しかしこれが意外と思いのほかうまくいった感じがあり、ポーズアセットだけでも意外と作れるんだな…!と気づきがありました。
自分が主に担当したカットの中で、モーションを使ったのは3人が道を歩いているカットで、mixamoのモーションを引っ張ってきたのですが、スピードを変えたりAvatarMaskで上半身のポーズを変えるだけで結構それっぽく見えました。
Humanoid, AnimatorにAvatarMask, TimelineやCinemachineなど、Unityには本当にすばらしい機能やツールが揃っているんだなぁと改めて実感させられました。
残り数時間というところで概ねTimelineを作り終え、そしてそのタイミングで、声優さんの収録に立ち会わせていただきました。イベントにご協力いただいている声優さんが所属するスタジオとZoomでつながっており、こちらから台本を共有してそれを演じていただく、といった形でした。
ここでも現場経験の長い方に指示や台本などを制作いただき、自分は「ほえ~」と眺めるだけだったのですが……声優さんは本当にすごいですね!
声を出し始めた瞬間に「あっこれがプロ……」と”理解”らされました。すごく細かい指示にも柔軟に応えていただき、”ガヤ”(いい意味での囃し立てるような声)を収録するときは聞いているだけでもテンションが上がってくる感じがあり、こういった声優さんの収録現場を見学させていただいたことは、自分にとって非常に価値の高い経験になったと感じます。
そういった声優さんの収録も終わり、カットごとに微調整を加えつつカットごとに映像を書き出して編集担当の方にお渡ししておおよそ自分の作業は終了しました。
その後19時から中間発表会があり、皆さんの中間発表を拝見してその後1時間ほど交流会があり、2日間の日程はすべて終了となりました。
さて、例によって良かった点、悪かった点と振り返っていきましょう。
振り返り:良かった点
何より楽しかった
いや~~~これにつきます。
u1wゲームジャムなどではいろいろと摩耗することも多く、”ゲームジャム疲れ”を感じることもあるのですが(それを補って余りある楽しさがあるので参加しているのですが)、それが一切ありませんでした。
ひとえにチームメンバーの方との役割分担がうまくいき、特に経験のある方に全体のディレクションを見ていただいたことで、全員で同じ方向を向き続けることが出来ていたからでしょう。
ここまで即席でうまくいくチームはそうそうないでしょう。そういった意味でも貴重な体験でした。
ノンコーディングUnity・描画時間を考えなくていいの気楽でたのし~
いや~、一行もコードを書かなかったんですよね。持ってきたシェーダーのBlend方法をBlendAlphaからAddにしたくらいで。
今まで学んできたUnityの機能を活用し、ノンコーディングでUnityを触るの、めっちゃたのし~!ってなりました。(なおノードはノーカウント)しかもリアルタイムとはいえアニメである以上、ゲームのようにシビアに1フレームごとの描画時間を考える必要がありません。普段モバイル向けのTAをやっている身としては、こんなに気楽なことはありません。
「えっ、スカートだけでボーン100本を揺らす?」
振り返り:悪かった点
オススメされたツールを(存分に)使えなかった
これはまあ、ハッカソンというイベント上ある程度仕方ない部分もあると思うのですが、せっかくオススメされたツールを学習する機会とは出来なかったことは心残りです(まだイベントは終わってないんですが!)。
※7月5日追記
AnimeToolBoxは流石に使っておきたいですね...!という話になり、3Dのパートで背景を合成したりブラーをかけたり、といった用途で使ってみました。
自分達が元々サポート外だったURPを使っていたということもあり(これは完全に自分都合で、一番使い慣れているRPを選択しました)、一部使えないノードなどもあったのですが、
ノードベースで絵を組んでいったり、Timelineのカスタムトラックがノードごとに既に用意されていたりと、アニメ制作ツールとしての強力さを感じました。
おそらく適した環境下であれば、あるいはまたブラーなどのちょっとカメラごとにかけるのが難しいよね…といったノードが増えていくと、より強力なツールになるだろうな、という感じがありました。
連番画像をガッと並べて表示させると言ったことも得意なようなので、AfterEffectsで作っためちゃくちゃリッチな画面効果をそのまま載せちゃうといった応用も可能なようです。
まとめ
以上、「アニメ×ゲームジャム supported by Unity」の大まかな流れと、制作体験の振り返りをしたためてみました。
結果的にはアニメーションをゲームエンジンで作る楽しさを十分味わうことができました。同様のイベントがあればまた参加してみたいですね。
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