映画『ビジランテ』全リョナラー大歓喜で全裸起立
テイルズ・オブ・ジ・アビスというRPGゲームをご存知だろうか。「生まれた意味を知るRPG」なるサブタイトルが付いていたが、当作『ビジランテ』、「生まれた意味などないことを知るRPG(最悪のバッドエンドルート)」であり、こんなヤバイ作品をこの年になって拝見させていただくとは思わなかった。
当作品は2017年リリース・入江悠監督作品、大森南朋・数木浩介・桐谷健太のトリプル主演であり、幼少期に地元の名士である父にえぐい虐待を受けていた三兄弟が長じて繰り広げられる人間模様を描きたいのかノワールを描きたいのかイマイチ分別がつかない映画である、私はルーキーズくらいから桐谷健太をまあまあエロい目で見ており、昨今の「仕事選ばないゆえにちょっと何やっても面白くなっちゃってる」部分も概ね好意的に見ているクチだが、この作品についてはなにせ桐谷演じるキャラが精神的、肉体的に追い詰められている描写にリキが半端ない。また、基本的行動原理が死ぬほどアホなため何かと一所懸命アクションは出すのだがほぼ9割方の目的において「取りこぼしちまってる」。地獄のような役どころであった。
桐谷健太という俳優は自分が推しておいてなんだが、「その芝居ができるならあそこで発揮して欲しかった」という致命的なズレが生じているところが魅力の一つだと思う。今回もそのズレを遺憾無く発揮していて最高だった。『ビジランテ』においては脚本によるところが大きいと思うが、やることなすこと全て裏目に出ており本当に最悪というしかないのである。当作品のレビューに「登場人物全員アホすぎ」と書いてあるのを見たが、桐谷健太演じる三郎が群を抜いてアホである。
この三郎、とにかく情に流されすぎて手に入れようとしたものをおおよそ取りこぼす、生まれた意味もなければ生きている意味もそんなない、ネタバレするなら死んだ意味もほぼ皆無というかわいそかわいいの最高峰であった。なんとか救ったデリ嬢数名も「マイナスからなんとかゼロになった」程度の結果である。寮はスタッフと雑魚寝なのにキャスト一人辞めるだけでそんな高そうでもない中華屋で送別会を行うデリヘルというのもなかなかにスベっている。ウエトラも海綿もくれなさそうで困る。海の声が全く聴こえてこない。
デリ店の悪口ばかりでもなんなので、当作品の1番のヌキ…見所を紹介しよう。
桐谷健太が経営しているデリヘル(おそらく本番DC)のケツ持ちヤクザ役であるが、あの般若が演じている。デリをやめたいと申し出る桐谷に対し、般若は焼肉食っていた鉄箸でテーブルごと桐谷の手を貫通し、上からグリグリ灰皿で抉じ入れる。桐谷大絶叫(いつもの汚い声で)。このシーン、なかなか長尺であるが初見より毎日観ては元気をもらっている。やはりリョナは世界を救うとしか言いようがない。私個人の中で最高の映画リョナ体験は「クローズZEROで高岡蒼甫がリンチの上逆さ吊りの血まみれで放置されるシーン」であるが、なんと20年ぶりにそのランキングを更新した。桐谷健太は喉が枯れんばかりの大絶叫で魅せてくれるが、いきなり裏声で「ア”ッ♡」とかも言うので(いつもの汚い声で)その界隈には全裸待機待ったなしである、いきなり氏賀Y太の世界観となってしまっている。あと、その直後に般若が吐く台詞のリズム感もラッパーそのままのリリック感が出ていて悪い意味で面白い。それまでほぼ孤高の存在であった桐谷であるが、般若に在籍のデリ嬢の命を脅かされると知るや次男の自宅にカチ込み、お得意の舌ったらず甘えんぼビームで持って2番目の兄である鈴木浩介に助けをおねだりし、特にその後の展開に影響するでも無いどんでん返しを喰らって絶望の表情を見せるがここも「鬼滅の刃パロディAV」くらいエッチなのでそこだけでも覚えて帰ってください。
また、ここからは私の所感であるが、田舎の名士に3人兄弟など必要ではなく、桐谷演じる3人目はむしろ「政略結婚」とか考えて女の子が生まれるべきだったのではないだろうか。その時点で意味がないのに更に全然意味のない事件を起こして上の兄弟二人に多大なるトラウマと迷惑をかけ、足手まといにしかならなかった挙句、記憶と認知の歪みとしてそれを「絆の証」として全ての情を断ち切れず結局ほぼ取りこぼしているので生きる意味すらあんまなく鬱ゲーに拍車をかけている。やることなすことすべからく裏目にでることについては映画界において右に出る者はいないだろう。手、穴空いてんのに舌ったらずの甘えんぼう仕様でトロトロ喋んな。それ以前の記憶違いも相まって、自分が鈴木浩介でも「突き放す」一択である。
桐谷が求めて止まなかった「護るべき家族」が雇っているデリ嬢数名であったことも歪であるし、本来は鈴木浩介の「護るべき家族」であった篠田麻里子が不甲斐ない夫に変わって義父やお偉いさんに枕するなどからだを張る演出も最高であった。芝居はそうでもなかったけど。
桐谷はそんな篠田に対し「あいつ(自分の父親・篠田の義父)と寝たの?」と問う、正直「やったの?」でいいと思う。でも「寝たの?」の方がエッチなので許す。
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