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オルガナイザーGX 藤本進という男

満を持して、カマそうか。最狂にして最凶のサイコパス、我が旦那殿こと、お笑い芸人・オルガナイザーGX藤本の話を。

コイツと初めて粘膜を擦り合わせ、付き合って結婚に至ってから4年くらいが経つ。出会いは10年ほど前、お笑いの養成所の同期であった。

当時の私は非常にイキり倒しており、表面上こそ根暗なインキャ野郎だったものの、内心この養成所の中で自分が一番面白いと思っていた。入学当初の自己評価よりも、学内の評価がガン高かったというのが大きな理由である。どけどけどけ!わたくし様のお通りだァ!と、デスノート持ったフリーザの如きメンタルでおったのだ。

ところで、この養成所には月に一度の「養成所ライブ」があった。SMLとかいう名前だったと思う。何の略だったかは忘れた。LはたぶんLiveの略だろう。Lifeとかだったらキモすぎて速攻退学してた。それはともかくこのライブ、自分の出番以外の行動は基本的に制限されておらず、教室の巨大スクリーンで他の芸人のネタを見ることができた。

養成所にはその生活環境にあわせていくつかのクラスがあり、夫とは違うクラスだったためその存在を知らなかった。そのため完全にノーマークであった夫のコンビ「オルガナイザーGX」であるが、たまたまそのネタを教室のスクリーンで目にし、私は、膝から落ちた。

勝てない。

今でこそ、世界観がどうのとか、シュールレアリズムとか、御大層な評価を(一部変態から)受けているオルガナイザーGXであるが、まだ始めたてホヤホヤの、荒削りなソレは完全なるガイキチかつ天才の所業であった。ワンピース描きたい奴らの中に根本敬が混じっている。ポカンと開いた口から、涎が垂れていることにも気づかなかった。

元々根拠のなかったプライドはズタズタに引き裂かれ、私のメンタルを容赦なく崩壊させた。フリーザは飛散した。

他の同期に関しては、正直、そのネタ構成を理論で語ることができた。実を言えば、今はAV制作メーカーで働いている「忍者」という芸名の女(スゲー美人で性格も良い)がいて、ソイツに対しても敗北を感じていたのだが、とにかく「オルガナイザーGX」のネタは、あぁ、もう、努力ではどうにも勝てないヤツだった。何せガイキチと天才を併せ持っている。しかも藤本という男、ちゃんと努力のほうも怠らない真面目な人間である。努力する天才に、小手先の技術で目先の評価だけを狙っていた私が勝てるはずがない。

私は普通にお笑いライブに行っても出待ちなどしないタイプだが、出待ちギャルの中でもだいぶミーハーなテンションで藤本に声を掛けた。藤本は、養成所の中でもグンバツに尖っていることで有名であり、評価の高かったコンビの強烈なネタ批判をブログに書いてそいつらとマジ喧嘩するなど養成所内では非常に恐れられていたが、元々この界隈じゃ俺が最強だぜと天狗になっていた私である。すんなりいった。「ファンです!」藤本は鷹揚にその評価を受け入れたが、一切笑顔を見せてくれなかった。当時19歳童貞尖り散らかし天才芸人、同時に稲垣選手バリの「笑わない男」であったのだ。長門有希気取りか。

しかし私はメゲずに彼奴に絡み続けた。オッパイのデカいギャル同期なども彼をオキニとして推していたが私にはガロ好きサブカル女というアドバンテージがある、藤本もガロ好きサブカル野郎であり、あと不謹慎な話が大好きだという共通項があった。人が死んだ話とかをすると彼奴は笑った 、やっと笑った、心から。気持ち悪い事を書くが、私はその笑顔を可愛いと思った。

思えばこの「不謹慎オモシロの波長が合う」というのが我々がパートナーたる最大の理由だと思う。あとは夫氏、8兆個くらいのクレームを私につけてくるし、お互い1人で暮らすのが一番ベストという性格なのだが、「レペゼン地球」というアーティストがTwitterに投稿した「お腹を食物でパンパンにし、ホットプレートにその食物のゲロを吐いてそれをまた食いゲロを吐き、それをまた食い…」という動画に共に爆笑してくれたのは夫だけである。あと、グロい処刑法の話とか、アナルに人が住む話、suk学会の話とか好きだ。主催するライブ案も「アトピーの人がその苦労を語り合うトークライブ・アトピーライブ」などである。これを私に相談し、腹を抱えて爆笑しながら話し合う。例え将来、夫が不倫とかする日が来たとしても、彼奴の不謹慎にこれだけついていける女は我しかおらぬと自負している。

コンプライアンスの厳しい昨今、彼奴がどれだけそのヤバさを隠せるかわからないが、将来ブレイクするのは間違いないので、その際「アメトーーク アトピーイジるの大好き芸人」とかが行われないことを祈るのみである。

#私のパートナー

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