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ありそうな企業の悪行

34 偽鰻 保坂祐希 作

品川駅の本屋で購入。
表紙を見て、へぇ。ひろゆきのお勧め本かぁって思いました。今まで、ひろゆきが勧めていで読んだ本がこちら。

「コンテナ物語」「銃・病原菌・鉄」「サード・ドア」

どれも面白いです。
まだ読んでないのがこちら。

「ガダラの豚」

他に何を勧めているのかは知りませんが、とりあえず僕がひろゆきの動画を見て確認したお勧め本がこの4冊になります。
正直なところ、最近ひろゆきの動画を見ていないので、最近何を勧めてるのかについて知りません。

なので、何故この本を勧めているのか?っていうのはいまいち見えないんですけど、たまには表紙にのっかって買ってみようと思いました。

  〜〜個人的な見どころ〜〜

①鰻の謎
ストーリーの肝。
うなぎの稚魚が取れなくなっているのに、うなぎの流通は滞っていない。
生産量と出荷量があまりにもかけ離れているのではないか?と言う疑問から、ストーリーを展開させていってます。

実際のデータはどうなんでしょうね?

ほんとにそういうデータ。うなぎの稚魚の数と出荷数があまりにも合わないとかそういうのがあるんでしょうか?

作者の推理なんですかね?
とにかく、この謎に真正面から取り組んでいるのが面白いと感じました。


②数や論理のトリック
データやルールのトリックも面白かったです。
海外のうなぎの子供を不法に持ってきて、日本で育てて出荷する。
そしたら国産になると言う考え方。
これもなかなかに本質を表してていいなと。

実際、そういった屁理屈を利用して、世の中って動いているような気もします。
本気で利益を獲りにいくなら、データやルールを都合よく解釈することも必要ですからね。

あとこの作品に登場している、ダークヒーローっぽい描かれ方をしている登場人物がよく使っている手なんですけれども。

1つの質問。これがおよそ50個ほどの質量を持っていたときに、そのダークヒーローは1つの答えを返すんですけれども、見事に1個か2個の質量を持ってしか返さないんですよね。
「大谷翔平について教えて」って質問があった時に、
「彼は日本人です」
ってだけ返すようなもんで。

主人公の女性は、たまにそれに気づいてそれに突っ込んだりするんですけど。
その辺のテクニックがやはり上手だなと。

正直、このダークヒーロー。本当に悪の親玉みたいな感じで、倫理的にも許されない感じの人なんですけれども、この人面白いなっとずっと思ってました。

③腹をくくる
この物語は、大手食品会社で働いている、スーパーで研修中の食べ物好きな女の人と、彼女と大学で同じゼミだった出版社で働いている記者の卵の男の人。
この2人が主人公です。

で、男の人が自分の故郷でもある小木曽の漁協でのうなぎに関する事で不正の疑いを調査します。
で、ゆくゆくの告発をどうするか悩みます。
自分の故郷のことですし。
確か、男の人の父親が会長さんだったかな?
そんな背景もありますし。
もし、告発して漁協がえらいことになったら、村が致命的にさびれるのは目に見えているわけです。
そして色んな事があり、それでも腹をくくって不正を告発します。
で、さらなる不正がみつかり、さらに告発しようとしますが…。

この腹をくくる記者の卵の男性。
すごく正直に小心者です。

一方、主人公の女性の方が大胆すぎて話にならなさすぎます。バランスを取るためなんですかね?
この二人の対比が面白いです。
小心者の男性が腹をくくって行動するところを、女性は何も考えずに行動している感じが随所に楽しめます。

  〜〜まとめ、雑記〜〜

企業ミステリー。
フィクションでもなるほど、不正ってこういう仕組みで起こるんだ!ってのがわかる感じです。

そのほかにも、障害者雇用や補助金。
政治家の仕組みや秘書がやりました的なやつ。
人が行動する理由。

なんか、本当に随所にリアルでした。
まるでウシジマくんやら、ナニワ金融道を読んでるみたいな感じ。
特に色んな意味で見習おうってか、参考になったのが。
おかしな個体がでても、役所が定めるおかしな物質さえ検出されなかったら調査する義務はなし。
ってところで。

なるほど。データってこういうふうに使ってもいいんだなと。
これを読んで、ミルクボーイのネタ。
「コーンフレーク」の一節を思い出しました。

母親の好きな朝食を探っているうちに、
栄養素の五角形がめちゃくちゃデカい!
って母親が言ってたことについて、
コーンフレークやないかい。
ってなるんですが。
その時のセリフ。
「あれは自分の得意分野だけで戦っていると、推測してる!!」
って言っていて、
「牛乳も込みでの五角形やからね!」

って、見事な分析をされてました。
これも似たようなものだなって思いました。

もっといえば、世の中ってそうやんな…。
って色々考えて実感してます。
そういうの、色々含めて、勉強になった小説でした。

では、また。

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