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29 繁栄 マット・リドリー 著

少し前に、日本の人口が83万人減っているみたいな記事をみました。

人口の動態?は、基本そんなに変わらないので、わざわざニュースにせんでもって思うんですが、そういうわけにもいかないようですね。

で、そのニュースを見て連想したのがこの作品。

僕が好きな作家の1人です。

「イギリス人」って感じの人です。

Xをやっていて、ポストとか見たりしてると、
あまり好きでない部分もあるんですね。

そこはSNS時代の徒花。
全て好きってゆーのは難しいと感じています。
作品は好きで、それで十分って思うのがこの世の中を楽しく過ごすコツな気がします。

     

  〜〜個人的な見どころ〜〜

①繁栄する理由
この本テーマに上がってるんですけれども、人類が反応していくのは理由があって、交換と分業が成り立ったからっていうのがあります。

まず交換することによって作るのに、苦労するようなものを作らずに済んで、自身の得意を伸ばすことによって効率良くするってやつです。

社会が停滞すると、間違いなく交換と分量が滞っています。これをいろんな時代のいろんな例に当てはめて考察していくんです。

交換にもいろいろあって、例えば服と服の交換とかだったらあんまり意味はないんだけれども、服と食べ物の交換だったら意味が出てくる。分業の余地が出てくるからですね。
分業の余地が出てくる交換は、厳密な価値の公平とは関係ないところが良いってところもあります。お互い価値観が違う=公平って尺度で測れない=ウィンウィンが成り立つ。

ただ、個人的に思うんですが、その測れない部分があるので、争いの火種も常にはらんでいる気はします。その辺もいろいろ語られるので、詳しくは本書読んでくださいって形になりますかね。

②江戸時代
平和だが停滞の極致。

この作品の中で、日本の江戸時代に触れてるところがあります。
ざっくりまとめると、

「1600年前後の日本は裕福で高度な文化を持つ国であった。日本の経済はその頃は農業中心で羊が群れをなしてて、豚も飼われ牛や馬がたくさんいた。
犂を牛や馬がひいたりしていた。
ところが江戸時代になって長って1800年代位までになると、そういった家畜がほとんど消えてしまった。羊がほとんどいなくなった。豚でさえ数が少なくなり、1880年に日本に旅行した旅行家のイザベラバードという人が、その光景を書いています。「乳を絞るための動物も草を引かせるための動物も食用にするための動物がいない。牧草地もない」
「馬車もなくて、輸送に必要な力は人間が提供し、肩に担いだ棒にぶら下げたり、背負子にくくりつけたりしてる」要するにヨーロッパの人が動物と水と風の力を利用していたものを、日本人をほぼすべて人力で仕事をしていたと。
犂もなくなったりしていた。
理由として、人間の労働力がすごい安かった。牛に食べさせる牧草を育てるために、貴重な農家を使うより、人間の労働力を使って、土地を耕す方が経済的である状況になったと。
自給自足を強め、見事なまでに、技術と交易から手を引き商人を必要としなくなって、あらゆる技術の市場が衰退した。
武器も、かつて銃を大量生産していたのに、再び日本刀作りに戻ったと。
これも自給自足、手工業である日本刀作りを大切にした所以かとのこと」

マルサスの罠みたいな感じで描かれています。

食糧がある程度伸び代がなくなると、それに合わせて社会は停滞していくみたいな感じでしょうか。

要は1800年代の日本は長い平和とともに技術が衰退したとのこと。
今の日本とは違った停滞の仕方な気もします。

③人口転換と日本、韓国。
マルサスの人口の予測が人類にとって良い意味で外れましたが、今度はまた別の問題が出てきます。

知っての通り出生率が低くなりすぎて、人口が減りすぎちゃうんじゃっていうかたちのやつです。
作者が楽観的っていうのもありますが、その辺も少し楽観的に考えています。

ある程度人類は豊かになると出生率が下がります。
ところが富裕な国々では、繁栄が一定レベルにたっすると、出生率がわずかに上がると言う第二の人口転換が見られてて、1976年以降、24カ国のうち18カ国で出生率は上昇している。説明のつかない例外がなんと日本と韓国で、まだ下がり続けてると。

家庭が豊かになる過程で女性がワークライフバランスを実現できる状況を整えられていないのだと考えられているとの事ですが、どうでしょうか。その辺がすごく興味深いです。

〜〜まとめ、雑記〜〜

江戸時代。
自分の中では、平和が続いた奇跡の時代っていうイメージがあります。
ゆーても250年くらいも平和な時代が続いたんですから。

世界でもここまで平和が長く続いた国や時代はないんじゃないかってくらいですよね。
経済規模も、人口も、世界屈指の都市だったともいわれてますし。
他の人も大体こんなイメージを持っているんじゃないでしょうか。
日本人ならばって感じですが。

ところが海外の人で、しかもこういう「人類は繁栄した方がいいね!」って主義の人から見ると、違う見え方するんだなって思いました。

ほんと、ただの衰退の象徴みたいな扱われ方をするんですよ。
あるヨーロッパの国も日本の江戸時代みたいになるところだったみたいな書かれ方をしたりして…。
平和と繁栄。
両立ってのは難しいんだろーか?
結局、交換や分業していくなかで、争いってのはでてくるものだし、繁栄しないと、江戸終わりの日本みたいな、よほど運がない限り侵略されて終わりだし。
色々大変だなと思いました。

ただ、江戸時代。
人は増えても食糧が水田の発明でなんとかなって、仕事も牛や馬を使う所を人を使うことによって何とか回ってきたわけで。
マルサスの罠とかいわれても。
人を増やす土壌はしっかりしておけば、あとは何とかなるので、日本で出生率がなぜ上がらないか?
このあたり、しっかり解明しないとってのはありますね。
作者が推測するように、女性のワークライフバランスのせいでしょうか?

③で、世界の出生率を軽く見たんですが、確かにこの作品が書かれた頃は、出生率増えてましたが、そっからまた下がり始めてますね。世界でも。

とはいえ、日本、韓国は頭ひとつ抜けて低いですが。
この問題、ゆーても先進国では顕著で、そこまで有効に解決してる国はなさそうなので、ニュースがあればチラ見はしていきたいなと思います。

では、また。



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