わざわざ眼鏡をかけてから目を閉じる

目がだんだんままならなくなるお年頃である。
若い頃はとにかく視力が良くて、小さいものも良く見えて、お札の隠し文字なんかを肉眼で「見える!」とか言ってよくわからない自慢をしたものである。
御多分に洩れずというか、視力が良かったから余計になのか、早々に「近くにピントが合わないぞ?」となってきて、あれよあれよと遠くも近くもぼんやりしてしまった。

ということで日常的に眼鏡をかけるようになったのだが、いわゆる近視用に度が入っている眼鏡はもちろん近くが見えづらいので、スマホを使うときに外したりする。
カッコ悪いという向きもあろうが致し方ない。

電車に乗って、遠くを見たりすればいいものをついついスマホを見るので眼鏡を外す。
一通りなんやかんや見て、とりあえず今はこんなところかと画面を閉じ、ポケットにしまう。
…そこからだ。
やれやれと眼鏡をかけて、わたしは目を休めようと目を閉じたのだ。
なんなんだこの流れは。
眼鏡というのは見るためにかけるものなのだから、目を閉じるならかけなくてもいいのに!
ちょっとだけ呆然としてしまった。
(周りからは全く同じに見えただろうけど)

日常的に眼鏡をかけるということは、眼鏡の定位置がかけた状態になるということで。
わたしの耳と鼻は眼鏡の置き場所でもあるということなのだなぁと妙に納得しつつ、そのまま目的地まで電車に揺られていったのだった。

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