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短歌「高丘親王航海記」

こんにちは、秋月祐一です。

この note は、ぼくとこうさきが交互に書くという、
ゆるやかなルールで運営されているのですが、
こうさきの歌稿が見つからないまま、
更新が止まるのもどうかと思い、秋月が連投します。

6月の「春疾風ふいた」、
7月の「はつなつの樹上生活」につづく、
初デートを題材にした、シリーズ第3弾です。

(短歌誌「未来」2018年8月号に発表)


 高丘親王航海記  秋月祐一

芝居観るついでだからと嘯いて上京をする あなたに会ひに

シモキタは初めてなのと飛びはねるやうな歩調で路地をくぐつて

あたまひとつ身長差ある恋人とゆく夕暮れの街はふはふは

  天野天街脚本・演出『高丘親王航海記』

知り合ひの照明さんがおつといふ顔してぼくとあなたを見てた

不可能と可能をめぐる劇はまたぼくとあなたの生き方に似て

スズナリを出るといつでも雨降りのやうな気がしておりる階段

フードかぶつてペンギンめいた歩き方してるあなたの頭をなでる

ぼくを見上げてお腹すいたと言ふことが多いあなたとちよつぴり飲んで

ツンデレのあなたの指に手をふれて握りかへされてる帰り途


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