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「夏と秋」マガジン 第5号

【はじめに】

 こんにちは。こうさき初夏と秋月祐一の創作ユニット「夏と秋」の、
マガジン第5号をお届けいたします。

 今号より発行人となった秋月祐一です。
 より多くの方に「夏と秋」マガジンを知っていただきたいと願い、
note へ引越してまいりました。

 現在のコンテンツを基調としながら、ゲストの方をお招きしたり、
そのつどの企画を組んだり、より一層の充実に努めてまいります。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

秋月祐一

* * *

今回のマガジンは、
【こうさき初夏の短歌「アニマルパラダイス」】
【秋月祐一の俳句「土偶」】
【秋月祐一の短歌「縄文展」】
【教えて秋月さん (4)(5) 】
【こうさき初夏の珍獣ライフ (3) 】
【読者投稿欄でぐでぐ(2)】
【カピバラ温泉日記】
という内容でお送りいたします。
* * *

【こうさき初夏の短歌】

 アニマルパラダイス  こうさき初夏

左手の小指ちぎってきましたとぽつ梟に差しだす手紙

眠れぬ夜に心臓バクバクばくばく喰らふバクに会う日に

炭酸と青将軍がはじければわたしは夢遊病になる山羊

ウォンバットはハートみたいなきんたまを広げて眠る砂にうもれて

もるもつともつとときやべつ食ふきみの耳はきくらげみたいはむはむ

浴槽からフタバスズキリュウがあと5分あと5分だけおまちください

0か1かの分水嶺にさしかかる診察室に3匹のヒト

閃光は等身大に迫りゆき相似の象ら金貨を守る

ひとりでは眠れずにゐるデメニギス月までゆける翼ください

海、月、目、光 わたしは梟になる夜明け前ベリーダンスを

かがむ猫張り出す肩の背後には梟がをりしづかに狙ふ

* * *

【秋月祐一の俳句】

 土偶  秋月祐一

ファンキーな鬼地獄絵に秋の風

暗転の場ミリテープの銀河かな

小林賢太郎式土偶秋麗

万年の余熱のごとき土偶かな

@夜@きんもくせいのぼく

録音した自分の声つてヘン夜長

鏡台の裏にねこみちそぞろ寒

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【秋月祐一の短歌】

 縄文展  秋月祐一

縄文のビーナスといふ土偶みて、あ、そなさんと思ふはつあき

新婚の妻に似てゐるこの土偶さはればきつと温かさうな

「単4つて電池の赤ちやんみたいだね」寝起きのぼくに妻はとつぜん

ファミレスで山盛りポテトを嬉々として頼むそなさん、若者だよね

貫禄がついてきたねと言はれてるらしき嬢ちやん奥たんである

「学生さん?」と疑ひもなく訊かれてるそなさんはいま二十八歳

ぼくの死後のことをあかるく話したりして年の差の夫婦ふはふは

文化祭前夜のやうな毎日がそなさんとなら、きつと死ぬまで

遮光器土偶のやうな顔してニカニカと宇宙の底で抱きあふ二人

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【教えて秋月さん/短歌・俳句の作り方】

今回は二本立てです。

 (4)席題俳句の作り方・後編

 前回にひきつづき、席題のときの俳句の作り方・後編です。

○菜の花やらららアトムは電池切れ

 この句は、平成29年3月25日に、神保町のダイニングバー〔銀漢亭〕で行われた「oh!花見句会」のときに作ったものです。席題は「菜の花」、投句は5分以内、という条件でした。

 前回も書きましたが、席題のときは、なにかを見て調べている時間が、そもそもありません。今回は「菜の花」という春の季語が題なので、それに取り合わせるものを考えることになります。その思考過程を再現してみましょう。

 まず、思い浮かべたのは、山村暮鳥の詩に出てくる「いちめんのなのはな」の光景です。これは、まあ、誰でも思いつくところ。そこに鉄腕アトムを配してみました。ここからどうイメージを展開させるかが、勝負どころです。

 ぼくにはなぜか、菜の花畑にいるアトムが、ひどく淋しげに感じられたのです。浦沢直樹が鉄腕アトムを翻案したマンガ『PLUTO』に出てくるような、哀しいロボットたちの姿。

 そんな想像をしたところで、口をついて出たのが、「菜の花やらららアトムは電池切れ」という句でした。時間はほとんどかかっておりません。できた句に迷いはなく、すぐに短冊に記して投句しました(ここでいう短冊は、コピー用紙を縦長に割いただけの、ごく簡単なものです)

 集められた句は、次々と読み上げられ、会場にいる70名ほどの俳人たちの挙手によって、得票が決められていきます。その結果、うれしいことに拙句が一位となりました。

 後日、この句を、べつの場に出したところ、やはり、この句がいちばん好きだとか、核の産業廃棄物の問題なども連想させてくれるとか、さまざまなご感想をいただきました。

 作ったのはわずか数分の出来事でしたが、いろんな人の読みを得ることで、片言のフレーズが俳句になってゆく。そんな経験をさせてもらった句でもありました。

 (5)スランプ脱出法

 今回は、歌人の瀬戸さやかさんから寄せられたご質問、「作歌や作句でスランプに陥ったら、どうやって抜け出しますか?」にお答えします。

 スランプというのは、ざっくりいうと、やる気が起きない場合と、書いたものに納得がいかない場合、あるいはその組み合わせであるような気がします。

 まず、やる気が起きない場合への対処法です。

 ぼくの場合、行きつけの喫茶店(ターミナル駅のドトール)へ行き、静かめの音楽(トビアス・ヴィルデンのソロピアノ)を聴きながら、愛用の筆記具(真鍮軸のボールペン SAKURA craft_lab 001と、キャンパスのA4方眼リング式ノート)をひらきます。

 括弧内のディテールはなんでもよくて、ご自宅の机で、無音、2Bの鉛筆のほうが作業しやすければ、それで構いません。要するに、自分が集中しやすい環境を再現することで、執筆モードへ入る習慣をつけてしまうわけです。この方法は単純なようで、意外と効果がありますので、ぜひお試しください。

 次に、書いたものに納得がいかない場合への対処法です。

 これはいい方法があれば、ぼくが教えてもらいたいくらいなので、以下に記すのは、不調なときにぼくが試みる、あがきのようなものです。その点、ご了承ください。

 ・手書きの効用

 短詩系でも、散文でも、執筆のスタートの段階では、手書きのメモを書き散らすほうが、脳が活性化するような気がします。ノートならA4サイズなど、大きめなものをお薦めいたします(ノートの広さは思考の広さにつながります)

 短歌や俳句を作るときには、マインドマップ的に連想する言葉を用紙いっぱい書きつけて、その中から使えそうな言葉をえらび、作歌・作句をはじめます。何もない状態から、いきなり歌句を絞りだそうとするより、はるかに楽ですよ。

 近ごろ、情報カードも使いはじめました。情報カードには各種サイズがありますが、ぼくが使っているのは、5×3というやつです。情報カードやふせんのいいところは、並べ替えによって思考の編集ができる点だと思います。

 ・読書をする

 それでも言葉が出てこないときは、自分にとって基本となるような作家の本を読み返します。自分がどういうトーンが好きなのかを、再確認するような感じでしょうか。ぼくの場合だと、

  短歌……塚本邦雄
  俳句……阿部完市
   詩……田中冬二
  小説……立原正秋

といった作家が定番です。
 川柳は、語れるほど読んでおりませんが、八上桐子さんの『hibi』(港の人)が大好きです。

 ・関係ないことをする
 時間があれば、詩歌とは関係のないことをするのもお勧めいたします。たとえば、映画を観るとか。映画というのは、2時間くらいで、他人の人生を疑似体験できるのだから、お手軽かつ貴重な娯楽だと思います(ぼくは、矢崎仁司監督の『三月のライオン』という作品を偏愛しております。機会があればぜひご覧ください)

 また、たとえば、書店に行き、いつもは立ち寄らないようなコーナーの本も、くまなく見てみるとか。アマゾン全盛の世の中ですが、リアル書店で得られる情報量は、圧倒的だと思います。空き時間が15分あったら、本屋さんに寄りましょう。

 ・あきらめる

 それでも、なお、言葉が出てこないときは、素直にあきらめましょう(その分、締切までの時間管理は重要です)。お酒を飲んだり、サウナへ行ったりして、夜は早めに寝てしまいます。

 で、翌日、早朝に目がさめたら、布団から飛びだして、いきなり作歌・作句をしてみるとか。創作の時間帯を変えてみるのも、スランプ脱出には有効な手段だと思います。寝ぼけまなこのまっさらな頭で、昨夜書いたものを見直すことも、よくやります。

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【こうさき初夏の珍獣ライフ/よろず生き方相談】

 (3)「人の話を聞かない勇気」

前回(第4号に掲載)から続くお悩み「アラフィフにして、今ひとつ自分に自信がないのですが、どうやったら自分に自信がもてるでしょうか?」(匿名希望)

この文章を読んでくださってる方、こんにちは。先日11月25日の文学フリマのため名刺を作った結果、肩書の一つが「生き方研究家」になったこうさき初夏です。ぽっ。

前回のご相談からアラフィフについて考えましたが、今回は「今ひとつ自分に自信がない」部分について見てまいりましょう。

最初にお悩みを拝読したとき、これは究極的な相談が来たと思いました…! 自身に自信を持つって、難しいですよね(無理くりだじゃれ)

「どうやったら自分に自信がもてるでしょうか?」という問いかけになっていますが、ぜひとも私も一緒に考えさせていただきたい問題です。

歌会とかで、歌について批判を受けると、建設的な内容なのはわかっていても落ち込みはします。

そういうとき、私の中では、批判を受け取り作品に生かしていく自分と、「なにくそ」と煮えたぎる自分と、どっちも存在しえます。

最終的にはよりよい作品になるのが第一と、もらった批判を創作に活用することに意識を向けますが、

この異なる二つの感情を、自分の中に同居させるのって、
めっちゃ大変!!!(特大文字)

そこで今回提示する生き方は自戒の念をこめて

「人の言うこと聞かない勇気!!!!!(超特大文字)」

この文章をタイピングしながら震えていますが、人の言うことをちゃんと聞こうって思うから、自信がなくなるんじゃないでしょうか。

なによりも優先すべきは自身が幸せに生きること。人の話を聞いて、自信持てなくなるんなら、

他人の言うことなんて聞かなければいいじゃないですか。
(ガクガクガク((((;)。
なんども申し上げますが、書きながら震えています。

素直であることが評価されるのって、学校や会社で評価を下す側があつかいやすいからじゃないんですかね。
素直にまじめに人の言うことを聞くからって評価されても、自信が持てなくて、幸せじゃないんだったら、効果少ないじゃないですか。

だったら人の言うことなんてどこ吹く風で、自分が快適になって自身持てたほうが断然いい(ふるふるふるえてる)

相談者様とこうさき自身を活気づけるために、最後に一つ生き方をご提案。

「思考と行動があったら、思考が追い付いていなくても、行動を先にしてみるのも、ひとつのやり方で生き方。」

ぶっちゃけ、今回の人の話を聞かない勇気の話、自分で書きながら「マジかよ」って脳内ツッコミしながら書いてるんですけど、「人の話を聞かない」という行動をとることで、それまで培ってきた思考自体が変わるんじゃないかと。
例えばですが、ポケモンというゲームではモンスターボールを使ってポケモンを捕まえます。

このときモンスターボールを持つ=行動をとると考えてみましょう。モンスターボールを持ってたら、ポケモンを捕まえたくなりますよね。

モンスターボールを持つ=行動をとる、この場合「人の話を聞かない勇気を持つ」ことで、ポケモンをゲットする=思考が変化する、すなわち自信が減る機会が少なくなり自信を持てるようになる。

困ったら、先に行動してしまうのも、時にはアリではないでしょうか。

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【読者投稿欄でぐでぐ(2)】

読者の皆さまこんにちは。こうさき初夏です。今回も、投稿欄でぐでぐに届いた短歌を紹介していきます。よろしくお願いします。早速メールを拝見しましょう。瀬戸さやかさんからです。

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瀬戸さやか「次号に投稿する短歌を詠みました。

沈黙に慣れたふたりの目も耳もテレビの光に吸い込まれてく

なんだか当たり前すぎる感じがして、もう少し直しようがあるのでは? と自分でも思うのですが、自分にはよくわからないのです。(これでも推敲はしました)よろしくお願いします」
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秋月祐一×こうさき初夏:解説

【原作】
沈黙に慣れたふたりの目も耳もテレビの光に吸い込まれてく

秋月「歌意も、歌われてる心情も、よくわかるけど、
たしかに、どこか物足りないような気がしますね」

こうさき「それは、どのへんでしょうか?」

秋月「上の句が説明的で、ことば以上のイメージが
広がらないきらいがあるかもしれません」
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秋月祐一→瀬戸さやか

秋月「この歌はこのままにして、他の歌と組み合わせ、
連作にする方向(=地歌として活かす)もあるとは思いますが、
ここでは、一首単位での推敲を試みてみましょうか?

推敲の手がかりを得るために、
作歌意図や、歌の背景(周囲の状況や、そこにある物、
時間、季節、その他なんでも)をお聞かせ願えませんか?」
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瀬戸さやか→秋月祐一

瀬戸「遅くなって申し訳ありません。
どういう状況かなぁと思い出したり、その後実際どうかなと自分の生活を振り返ったりしていました。

まずテレビはどうしても入れたいんです。私の主人はテレビっ子で、ご飯を食べる時もテレビを見るし、自分の部屋にもテレビがあって、深夜まで起きてテレビを見ていて付けっ放しで寝るぐらいですね。

私はそんなにテレビっ子ではないけれど、テレビがついていれば、つい引き寄せられる方です。
もしかして、目も耳も引き寄せられるのは私だけかな?

どんな時かというと、ご飯を食べる時ですかね。
テレビを見ながらなんやかんやしゃべっているかもしれません。

投稿した短歌は、「倦怠期に入った夫婦はこういうものだろう」みたいなものを短歌にした、という感じかもしれません」
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秋月祐一→瀬戸さやか

秋月「ご返信ならびにくわしいご説明、ありがとうございます。

おっしゃる通り、「テレビの光に吸い込まれてく」というフレーズは、この歌の大事な部分だと思います。

同時に「ふたり」であることを、感じさせる必要もあるでしょう。

そこらへんをふまえた上で、とくに上の句は、もっと大胆に作りかえてもいいような気がします。

詠いたいことは、明確につかんでおられるようなので、そのトーンを、より読者に伝わりやすくするために、ときには、フィクションを交えたりすることも、有効だと思います。

表現の強度を上げることを意識して、次の改作をお願いいたします
ご参考までに、ぼくが以前につくったテレビの歌を添付します。

消えたテレビの画面に映るよこがほは泣いてるやうで ゆず茶いれよう/秋月祐一
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こうさき初夏:解説

こうさき「ふむ。秋月さんの歌では「消えたテレビの画面」や「ゆず茶」といった小道具が目立っていますね」
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瀬戸さやかさん→秋月祐一

瀬戸「改作してみました。

【改作】
食卓に器はあふれ悲しみはテレビの光に吸い込まれてく

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秋月祐一→瀬戸さやか

秋月「とてもよくなったと思います。

食卓の器という生活のディテール、「あふれ」と「吸い込まれてく」の呼応、一首のことばが、有機的に響き合っているように感じます。
このかたちを最終稿にしてもよいのですが、可能性として「悲しみ」を明示しないバージョンも考えてみていただけないでしょうか?
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秋月祐一×こうさき初夏:解説

こうさき「直接的な感情の言葉を入れない場合、どんな作品になるだろうか、という問いかけですね。瀬戸さんが表現したい感情は、夫婦の日常の中にある「悲しみ」なんですね」

秋月「難しいとは思いますけど、よろしくお願いいたします」
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瀬戸さやか→秋月祐一

瀬戸「難しいですね。改悪になってるかもしれませんが、

【改作2】
食卓に器はあふれ探してた言葉はテレビに吸い込まれてく

よろしくお願いします」
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秋月祐一→瀬戸さやか

秋月「ご改作のご提示、ありがとうございます。

テレビの「光」はあったほうがイメージ喚起力がつよいので、
ひとつ前にもどって、

食卓に器はあふれ悲しみはテレビの光に吸い込まれてく

を最終稿とさせてください。

あくまでも一般論ですが、「悲しみ」「喜び」のようなシンプルな感情は、直接的に表現するのではなく、一首を通じて、その気持ちを読者に感じてもらえるように書くほうが、よいとされています。

ですが、この歌の「悲しみ」は、「食卓に器はあふれ」や「テレビの光に吸い込まれてく」という具体や、そこから喚起されるイメージと、うまく釣り合っているのではないか、という気がしました。

ご改作、ありがとうございました。

【最終稿】
食卓に器はあふれ悲しみはテレビの光に吸い込まれてく/瀬戸さやか

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秋月祐一×こうさき初夏:解説

こうさき「瀬戸さん、ありがとうございました。推敲ってひとつ前のかたちに戻すというのも、ありなんですね」

秋月「そうですね。どの時点が歌のピークなのかという判断は、とても難しいものです。でも、行きすぎたなと感じたら、ひとつ前の段階に戻ることも選択肢に入れておくと、視野が広がると思います」
こうさき「今回のでぐでぐはここまで。よい作品を作りたいあなたのご投稿をお待ちしております」
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【カピバラ温泉日記/秋月祐一】

◼️11月1日(木)

[映画]『まぼろしの市街戦』4K 修復版。第一次世界大戦で、外国軍が攻めこんだ街に、精神病院の患者たちがあふれだし、正常と狂気の境界がゆらいだ世界を、ユーモアをまじえて描いた作品。こんなかたちの反戦映画もありうるのか、と目から鱗が。

◼️11月2日(金)

[対談]下北沢の本屋 B&B で行われた、川崎昌平×田中圭一「働きながら漫画を描くということ」というトークイベントを聴いてきました。田中圭一さんがとってもチャーミングかつ博識な方で、おふたりのお話から、いろいろと刺戟を受けました。田中さんのジブリを題材にしたパロディ同人誌『三鷹の森の女子会』も入手。ナウシカ姐さん…。

◼️11月3日(土)

[紙片]散文を書くために、5×3 というサイズの情報カードでメモづくりをしています。このアナログの手法、性に合っているかも。散文の作業がはかどったら、急に短歌がほろほろと生まれてきました。脳のワーキングメモリの確保は大事だなあ。

◼️11月4日(日)

[読書]むつき潤さんの『バジーノイズ(1)』という漫画に注目。DTM で孤独に音楽つくっている清澄と、彼に惚れてしまった潮。ふたりの不器用な恋愛が、ものすごくスタイリッシュな絵柄で描かれていて、惹きこまれます。

◼️11月5日(月)

[紙片]短歌に関する散文は、情報カード 50 枚ほど、話のタネを書き出したところ。帰宅後、机の上で並べ替えをするのが楽しみです。

◼️11月6日(火)

[音楽]今宵の BGM は、サニーデイ・サービスの『Popcorn Ballads(完全版)』。去年のクリスマスに出たアルバムなのに、すでに懐かしい気がするのは、なんでだろう。今年は激動の年だったからかな。

◼️11月7日(水)

[読書]八上桐子さんの『hibi』(港の人)を読むと、自分でも川柳を書いてみたくなる。あるいは、俳句でこういう世界に近づけないか、と思う。

◼️11月8日(木)

[漢字]漢字検定 2 級に合格しました!

◼️11月12日(月)

[電脳]10.5 インチの iPad Pro を手に入れました。10.5 インチは、タブレットというよりも PC みたいな感じ。この変化が、自分の言葉にどんな影響をあたえるかが楽しみです。Apple Pencil をつかってマンガも描くぞ。

◼️11月13日(火)

[読書]「短歌研究」11 月号。真っ先に、荻原裕幸さんの「あをぞらがあをに達するまでの」30 首を読む。連続企画「平成じぶん歌」の一編である。荻原さんの句またがりの、なめらかなアクロバット感や、季語を短歌に摂取するときの呼吸のようなものを賞翫。

◼️11月14日(水)

[音楽]今宵の BGM は、石橋敬三さんのマンドリン独奏によるカバー作品集『MEME(ミーム)』。マンドラというひとまわり大きい楽器に、マンドリンの弦を張った「テナーマンドリン」という提唱。いい音色です。

◼️11月15日(木)

[短歌]なめてたらひくっとしたね海底にまいあがる砂きみはくぷくぷ/加藤治郎

歌集『昏睡のパラダイス』から。性愛の一場面を描き、きわどさと清潔感が同居するこの感覚は、加藤治郎の独擅場だろう。「くぷくぷ」というオノマトペが生む童話っぽさと「海底にまいあがる砂」という喩の美しさ。

◼️11月16日(金)

[陶芸]陶作家のこまつか苗さんの個展を観に、初夏さんと一緒に、高円寺の自由帳ギャラリーヘ。こまつかさんは、インコやカピバラをモチーフにした、すてきな作品をお作りになる方です。今日は、そなさんに似ているペンギン型の花瓶を購入しました。

◼️11月18日(日)

[俳句]紀本直美さんの句集『八月の終電』出版記念の、東京はとバスツアーに参加。紀本さん、あらためまして、ご出版おめでとうございます。各地から集った句友たちと、大いに飲み、大いに語り合った、俳句三昧の一日でした。

◼️11月20日(火)

[回顧]

#今年も残りわずかなので2018年一番想定外だったことを発表する

21 歳年下の女性と結婚したことと、それに伴い、サビ猫くうちゃんを連れて、900 km を超える引越しをしたこと。アラフィフにして、専門学校に通いながら、就職活動をしていることなど。今年はすべてが想定外ですけど、すごく楽しいよ。

◼️11月21日(水)

[物欲]刑事コロンボのブルーレイ BOX を買って、毎日一本ずつ観るとかしてみたい。

◼️11月22日(木)

[短歌]未補さんと斎藤秀雄さんのネプリ「きりんねこ短歌合評会」第1号で、拙歌「死ののちの死しののめのあめののち藍青の空はつかにみえて」を取り上げていただきました。ありがとうございます。
◼️11月24日(土)

[物欲]養命酒型のテルミン「エレクトロ養命酒 ヨーミン」のプレゼント企画に応募しました。当たるといいな。めちゃ欲しい。

◼️11月28日(水)

[後輩]大学の人形劇サークルの後輩(ぼくが社会人になってから生まれた世代の方)とはじめて会い、あれこれと相談。おもしろい企画がいくつか生まれそうです。

◼️11月29日(木)

[音楽]今宵の BGM は、ポラリスの『Family』。このアルバムを熱心に聴いていた頃のことが、一気によみがえる。音楽の力を感じるのはこういう時ですね。

◼️11月30日(金)

[錆猫]猫好きの方なら、すぐにわかってくださると思うのですが、猫には無言で口だけ動かして返事をしてくれるときがあります。甘えた声で鳴くときもかわいいのですが、この無言のコミュニケーションをされると、なんて賢い猫なんだろう、と親ばかモードになってしまいます。

* * *

【編集後記】

群馬県の万座温泉へ行きました。こんにゃくがおいしかったです(夏)

佐藤りえさんの句集『景色』(六花書林)を拝読中です。無季の句の割合が高くて、俳句ってここまで自由になれるんだ、と阿部完市が好きなぼくでさえ驚くような感じ。自分の句集をまとめる前に、読むことができてよかったと思える一冊です(秋)

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「夏と秋」マガジン 第5号
夏と秋:こうさき初夏・秋月祐一
発行人:秋月祐一
無断複製ならびに無断転載を禁じます
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