見出し画像

【読書&…】気持ちの変化

私は5年前、10年間働いた公務員を辞めた。

柚月裕子著「パレートの誤算」を読み始めた時、公務員時代に「この部署にだけは行きたくない!」と思っていた生活保護を担当する部署に勤務する職員の話だったので興味を持った。

読み進めると、誰が犯人か…?というドキドキする展開はさることながら、公務員特有の空気感が懐かしさと親近感を感じさせもした。

本の中で、私と同じように、この部署が嫌だと思っている職員(主人公とペアで動く相棒的存在)が言ったセリフを読んだ時、私は本当に、頭の中でゴンと何かがハマったような気がした。

「確かに俺は今の仕事に使命感を持っているかと聞かれたら自信を持って肯くことはできない。(中略)でも…」

「俺は仕事をおろそかにしたことは一度もない」

そうだ!!!と思った。

私はずっと仕事から逃げたと思っていた。

納得のいかないやり方や納得いかないことをする人が昇進する疑問。理解されにくいセクハラ…。

私は声をあげられなかった。それは自信がなかったからだ。つまり、自分が無知であってこの世界では常識なのかなとか、自分にも非があったのかなとか…そう思ってしまっていた。そして、この出来事は自分自身の汚点であるように感じていた。

でも、このセリフを聞いた時、私は、「そうだ!私も仕事をおろそかにしたことは一度もない」と思った。それは断言できる!と思った瞬間、これまでのことに自信を持てるようになった。

私は仕事に対してはきちんと向き合った。だから、環境から逃げたかもしれないけれど、仕事からは逃げていない。

それは、新しい感情だった。

私はもう違う道を歩むと決意したのだから、これも経験として目をそむけることなく受け入れなくてはと思えた。

そして次のステップにつなげようと思った。

そんな熱い思いを持ちつつ、息を飲むような展開と、登場人物の心境の揺れに最後まで気の抜けない一冊だった。

暑い夏に、心までヒートアップ。

でも読了後は、一汗かいてシャワーを浴びた後のようなスッキリした気分になった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?