見出し画像

コリアンダーとパクチーと香菜とキンザ

帝政ロシアの崩壊とともにアメリカに渡った文筆家が、故郷の料理を恋しく思うあまり認めた(したた-めた)エッセイを読んでいた(注1)。日本人からしたら、革命も共産国家もロシア料理も遠い異国のものである。

その本の中に、「キンザの葉」というスパイスが出てくる。『キンザ』でGoogle画像検索をかけても上手く引っかからない。翻訳された文章とはいえ、Googleにでてこないスパイスが本の中の言葉にあるのだ。私のロシアに対するイメージが、より一層ミステリアスなものになった(注2)。

画像検索で探しても見つからなかったので、普通の検索欄を眺めていた。スクロールバーを下に進めていたら、キンザとロシアに関係するブログ記事を見つけた。何とキンザは、ロシア語でパクチーを意味するものだった。

あ、ロシアの方もパクチー食べるのか。

なんかちょっと落胆したような安心したような妙な感覚であった。どこかで、ロシアの辺境くらいでしか使われない癖のあるハーブだと思いたかった。

カメムシみたいな匂いがするが、ビタミンcが手軽に摂れるので世界中で広まるのは頷ける。私も育てているが、日に当てて適当に水をあげてるだけですくすく育つ。まあ植物は普通それで育つけど。

日本が崩壊し、企業や行政の機能が停止したのち通貨というものがなくなり、人々は自給自足か物々交換で生活せざるを得ない世の中になったら、私はコリアンダーで取引しようと思う。栄養が取れる菜っ葉というものは大事だ。炭水化物やタンパク質も重要だが、ビタミン原は長期的に見たら必要になってくる。私はビタミンの種もみをもっている。

注1;「新装版亡命ロシア料理」ワイリ/ゲニス 未知谷

【訂正)このエッセイの作者は帝政ロシア崩壊直後の亡命者ではなく、1970年代の緊張緩和の世界情勢による亡命者であることが判明した。訂正と共にお詫びします。2019年7月4日】

注2;英語から日本語に翻訳された本に影響されて、この構文をとってしまう。仕方ない。