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M&Oplaysプロデュース「帰れない男」

幼少から大人まで芝居をしたのでそういった感想もたまに(女優のなりそこないなので)・・・

M&Oplaysプロデュース「帰れない男」
本多劇場 作演出:倉持裕
思えば、ずいぶん昔に作:川村毅で演出:倉持裕だし、小須田さん出てるからと見に行った【現代能楽集Ⅴ『「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」』】が2010年だから、あれから14年も過ぎてしまった。

友人が「チケット取れたけどいく?」とお誘いくださって久しぶりの本多劇場。今週2度目の下北沢でした。(数日前に友人の舞台を観劇) 考えたら14年前の舞台は男闘呼組の岡本さんが出ていたことを今更思い出した。去年、ライブ会場でお会いした時に、舞台を見た話をすれば良かった、、と思い出す今です。

今回は、今が旬な林遣都さんが主演ということで満席。ただ、目の前の1席が空席で転売ヤーが失敗したのだろうか。。。(ポツポツ空いてる席があった)完売だったので転売でしょう。転売なくなって欲しいですね。その周辺には明らかに若い俳優さんらしき青年が数名座っていて(その辺の勘は大体当たる、、流石に子供時代から舞台に関わることが多かっただけにか?)とても静かに舞台が始まるのを待っている様子。普段、知人の舞台ばかり鑑賞してるので全く関わりがない舞台を見に行くと、どういう客層で、どういうスタッフの動きかついつい見てしまう。年代層は比較的高い、芝居を見に行く層の年齢はこの20年一緒に年齢が上がっている感じがすごくする。10代や20代は推しがいる芝居はいくだろうけど、それこそ90年台の小劇場ブームからの演劇界が一番華やいだ時期に比べると、結局、その年代がそのまま演劇を支えてる感がすごくある。舞台の値段も昔に比べると上がっていることもあるだろうけど、今回の本多劇場に集まる観客層は1980年代の華やかだった演劇の街シモキタを知ってる世代っぽい気がした。あの頃柿落としこそ見てないけど、その後の、夢の遊眠社や第三舞台、大人計画、ナイロン100℃をみてその後、大学演劇に関わっていった自分としては本多劇場も年齢を感じる箱になっていた。ここは前から数列はなだらかな斜傾なのでどちらかというと真ん中より上が好きで、今回はちょうど良い席だった。Hさん、取ってくれてありがとう!!

さて、舞台は5月末ごろまで続くのでネタバレない程度の感想を書くと、個人的には藤間流の藤間爽子さん、山崎一さんが出演でどんなクセのある舞台だろうと思ったら、案の定、山崎一さんと若手の新名基浩さんの掛け合いがすごく良かった。新名さんの演技が上手い。そしてやはり藤間さんの立ち姿からしてすごく美しい。林遣都さんの勢いのある演技が好感をもてた。倉持さんの言葉だけでは読み取れない人間の心理戦のような台本は最後の最後まで気を抜けない。一緒に見た四人が観劇後に同じことを最初に言ったのがちょっと面白かったのですが、人間の狡さ、弱さ、したたかさ、大きな屋敷の中で誰も帰れない?どこに帰れないのか?誰が帰れないのか?長い迷路のような廊下は人間の人生を考えさえるものもあり、、考え方によってはいろんなことが言えるのかも、、という感想。これから5月後半まで続く舞台、無事に元気で完走されますように。

今回芝居好きだけで繋がってる友人が声をかけてくれて会場で会った4人は初めましてな人たちで、さらに九州から足を運んでいて、さらに、他の地方の舞台も見るらしい。ファンが会場から会場へ移動して応援してる様子。それだけの出費ができるのも一定の年齢層以上なわけで。私なぞ、新宿に数十分で行ける距離に住んでいるから「いつでもどんな舞台もコンサートも行けて羨ましい」と言われて初めて”言われてみたらそうなんだ”となった思った次第。地方公演する経費を考えると主要都市だけで公演する方向性になってしまい、今回の「帰れない男」は地方都市で1回公演などをするようなのですごいなと思ってしまう。
今は、小学校や中学校に演劇部がなくなる時代、若い子が演劇に目を向けるかというとなかなか厳しい。私の子供たちも3歳からダンスをやっていて、大学でダンスをしているがメンバーは400人いたりして、反対に、演劇の団体はどんどん消えていくか、少人数になっている。私も子供の学校で演劇の指導を手伝ったことがあるけどそういうことをする教師もいないだろうし、次の世代にどう繋いでいくのかは演劇界全体で考える必要があるのではないかなぁ。


写真「ナタリー」よりお借りしました

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