第4回 陰陽師の仕事
皆さん、「陰陽師」と呼ばれる人がいたことをご存知ですか?
彼らは、この世の「陰」と「陽」を見分けて、バランスをとることを仕事にしていたんです。
今日は皆さんに、この陰陽師になりきってもらって、「バランスを取る」ということを体験してもらいたいと思います。
とはいっても、何のことかわからないと思いますので、
まずは簡単に、辛く、苦しいことを「陰」、楽しいことを「陽」だと考えてみて下さい。
今月から、夏休みが始まりますよね。
陰陽師であるあなたの前に、小学生がやってきました。
彼は、夏休みという、莫大な楽しい時間、つまり、すごい「陽」を持っています。
さらに、新作のゲームを買ってもらいました。さらなる「陽」を手にした彼の顔は、輝き切っています。
もちろん、宿題という「陰」は、ランドセルにしまって、放り出してしまうでしょう。
さて、あなたは陰陽師として、どんなアドバイスをするでしょうか。
もし彼が「陽」を100%味わい尽くしたとしたら、二学期に待っているのは、先生から叱られるという「陰」ですね。
彼は「陽」を80%に留めて、宿題という「陰」を、20%支払うからこそ、叱られるという「陰」を味わずに済むのです。
きっと皆さんも、こういう風に陰と陽のバランスを無意識に取っている。これが、陰陽師の仕事なんです。
では、皆さんが、「陽」の時期にある時を思い浮かべてください。
時間があって、お金があって、体力があって。なんとなく楽しく、うまくいっているときは、陽の時期です。
ではこの「陽」の時期に、皆さんが陰陽師になりきって、バランスをとるなら、どうしますか?
自由な時間が沢山あるという「陽」があれば、
それをほしいままに楽しむのでなく、
筋トレをしたり、勉強をしたり、 手伝いをしたり、少しだけ「陰」をさす。
お金に余裕があるという「陽」があれば、
自分の為だけに使うのでなく、少しでも人におごる、プレゼントをするという、「陰」をさす。
また、行きたくない場所、やりたくない用事があれば、遠慮せずに休めばいいんです。
しかし、休むという「陽」を得ようとするならば、事前に謝りを入れて、差し入れをするという「陰」をさすと、角も立たず、むしろ喜ばれるでしょう。
これを「陰の先払い」といいます。
こうして、楽しい嬉しい「陽」をほしいままにするのでなく、少しだけ「陰」を先払いしておくと、
人から嫌なことを言われたり、病気になったりという、先で味わうはずの「陰」が消えて、人生はとてもスムーズに流れます。
入ってきた「陽」を全部自分の楽しみの為に使うのでなく、少しだけ人のため、自分の成長のために使う、「陰の先払い」がポイントです。
陰陽師の仕事が苦手な人は、バランスを取るのが苦手な人なんです。クセや、こだわりが強い。
やらなくてはいけないことをその場でやらず、理由をつけては、後で、後で、という「陰の先送り」をしてしまうので
結局一気に陰を支払うことになって、病気やリストラ、離婚、といった、とってもしんどい思いをしてしまうんです。
では、逆に、皆さんが「陰」の時期におかれた時を思い浮かべてください。
仕事を頑張りすぎている。時間がない。お金がない。毎日がなんとなく辛い。楽しくない。これが「陰」の時期です。
陰陽師である皆さんは、もうお分かりですね。
こういう時は、少しだけ「陽」をさすといいんです。
おいしいものを食べて、仕事を休んでゆっくり眠って、嫌な仕事は断って、嫌な人は避ける。
つまり、いつもより少しだけ、自分を大切にするということです。
こうやって言うと簡単な事のように思いますが、日本人はこれが本当に苦手なんですね。
周りの目もあるし、そんなわがままなことできない!という人が結構多いんです。
ただ、そのせいで陰に陰を重ねて、つぶれてしまう人が多いということは、覚えておいてください。
天理教の教祖、おやさまは、「二つ一つが天の理」とおっしゃいました。
どちらかに偏っていては、うまくいかないんです。
この世はバランス。陰と陽のバランスを取るのです。
自分に余裕があるときは、陰の先払いをしておく。
一生懸命になりすぎるときは、しっかり自分を大切にする。
一年間、一か月間、一日24時間、
それぞれで「陰」と「陽」のバランスを考える。
バランスが取れれば取れるほど、人生がうまくいくんです。
これで皆さんも、立派な陰陽師ですね。
しっかり日常で、「陰」と「陽」を感じて、生きてみて下さい。
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