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#36 要約練習課題④

【課題】次の文章を読み、本文内容を100字以内で要約しなさい。

スライド24

治療と仕事  がんでも働き続けたい

 政府の働き方改革実現会議は、がんをはじめとする病気の治療と仕事の両立支援を強化する方針を決めた。病気による退職を防ぎ、仕事優先で治療がおろそかになることがないような方策が必要だ。
「自分のキャリアを恐れて、がんになっても会社には報告せず、日々、仕事と治療に耐えている方が非常に多いと聞く。大病を患っても、元気に明るく仕事ができる国になることを願っている」
 乳がんになり5回の手術を受けた女優の生稲晃子さんは、ずっと病の公表を控えていた。「仕事を失うことが怖かった」からだ。しかし、病を誰にも伝えていない中での治療や副作用は「肉体的にも精神的にもつらいものがあった」という。
 生稲さんは働き方改革実現会議で、主治医、会社、産業医・心理カウンセラーによるトライアングル型のサポートを提案した。
 日本人の2人に1人が生涯のうちにがんにかかる。働きながらがんで通院する人は32万5000人と推計される。男性では60代、女性では50代が多い。
 一方で、がん患者のうち診断後に仕事を辞めた会社員は3割超に上る。働き盛りでの退職はその後の人生に大きな打撃ともなる。
 病気により離職に至る背景として、治療を続けながら働くための制度や社内の理解が不十分なことが指摘される。NPO法人の調査によると、がん患者の離職理由で「会社や同僚などに迷惑をかけると思った」「治療や静養に必要な休みをとることが難しかった」などが多く挙がった。
 かつては「不治の病」とされていたがんだが、医療技術の向上で、がん患者全体の5年後の生存率は6割を超えている。治療をしながら仕事を続けられるような支援策は不可欠だ。
 厚生労働省は2月、治療と仕事を両立できるようにする企業向けの初の指針をまとめている。がんだけでなく、脳卒中など継続して治療が必要な病気も対象。働き手である患者の情報を医療機関と共有し、勤務時間の配慮など適切な措置を取るよう求めた。
 ただ指針には法的な拘束力はなく、実効性は現場任せだ。改革実現会議には、支援策をより強める議論を進めてもらいたい。
 企業には病気休暇制度やラッシュアワーを避けるための時差出勤、在宅勤務、時間単位の有給休暇などを、よく相談して進めてほしい。経営者や管理職の意識改革も求められるだろう。
(「社説」 『東京新聞』平成28年10月31日)

解答例

政府はがんをはじめとする病気の治療と仕事の両立を支援する方針を決めた。しかし、そこにはまだ法的拘束力がなく、実効性は現場まかせとなっている。そのため、経営者や管理職の意識改革も求められている。(96字)

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