見出し画像

#68 データ型小論文 問題と解答例②「日本における男女の社会的差異」

次の資料を読み、あとの問いに答えなさい。

[資料1]結婚する時の年齢

 以下のグラフは2019年に発表された、厚生労働省の「人口動態統計(確定数)の概況」のデータをもとに作成したグラフです。「初婚年齢」とは初めて結婚した時の年齢のことです。左側の濃い色の棒グラフが妻の年齢を表し、右側の薄い色の棒グラフが夫の年齢を表しています。

[資料2]結婚した数と離婚した数

 以下のグラフは2019年に発表された、厚生労働省の「人口動態統計(確定数)の概況」のデータをもとに作成したグラフです。棒グラフが婚姻件数(結婚した数)を表し、折れ線グラフが離婚件数(離婚した数)を表しています。

[資料3]結婚しない人の割合

 以下のグラフは2019年に発表された、内閣府の「少子化社会対策白書」のデータをもとに作成したグラフです。「未婚割合」とは1度も結婚をしていない人の割合を表す数字です。1970年の地点で下にある薄い色の折れ線グラフが男性の割合を示し、濃い色の折れ線グラフが女性の割合を示しています。

[資料4]日本に色々な面での男女の差

 以下の表は※からのデータをもとに作成した表です。「平均年収」とは個人が1年間で稼ぐお金の額のことです。「非正規雇用率」とは正社員雇用でない働き方のことです。「大学卒初任給」とは大学を卒業したはじめの1年間に受け取る給与の年収のことです。

※ 平均年収は国税庁の「民間給与実態調査」による。
※ 非正規雇用率は内閣府の「男女共同参画白書」による。
※ 大学進学率は文部科学省の「大学入学者数等の推移」による。
※ 大学卒初任給は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による。
※ ホームレスの数は厚生労働省の「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」による。ただし、男女不明者の数は131人となっている。

問1 資料1~4のデータから読み取れる内容として正しいものを以下の選択肢から5つ選び、記号で答えなさい。

 ア 日本の男女は、大学進学率にはそれほど差がないのに、雇用や年収には大きな差が出てくる。
イ 日本の男女は、平均年収にはそれほど差がないのに、大学進学率や大卒初任給には大きな差が出てくる。
ウ 日本の男女は、雇用や年収にあまり差は出てこないが、ホームレスの数には大きな差が出てくる。
エ 日本の男女は、大学進学率に大きな差が出ているため、それがホームレスの数にも影響している。
オ 日本における結婚しない人の割合は、昔は女性のほうが高かったが、現代では男性のほうが高くなっている。
カ 日本における結婚しない人の割合は、昔は男性のほうが高かったが、現代では女性のほうが高くなっている。
キ 日本における結婚しない人の割合は、女性はあまり変わりはないが、男性においては高くなっている。
ク 日本における結婚しない人の割合は、男性はあまり変わりはないが、女性においては高くなっている。
ケ 現代の日本人は、昔に比べて結婚する時期が早くなり、離婚の件数も昔に比べると減っている。
コ 現代の日本人は、昔に比べて結婚する時期が遅くなり、離婚の件数も昔に比べると増えている。
サ 現代の日本人は、昔に比べて結婚する時期が遅くなったため、離婚の件数が昔に比べて減った。
シ 現代の日本人は、昔に比べて結婚する時期が早くなったため、離婚の件数が昔に比べて増えた。
ス 日本の非正規雇用率は女性のほうが高いため、ホームレスの数も圧倒的に女性のほうが多い。
セ 日本の非正規雇用率は男性のほうが高いため、ホームレスの数も圧倒的に男性のほうが多い。
ソ 日本の非正規雇用率は女性のほうが高いにもかかわらず、ホームレスの数は圧倒的に男性のほうが多い。
タ 日本の非正規雇用率は男性のほうが高いにもかかわらず、ホームレスの数は圧倒的に女性のほうが多い。
チ 現代日本における男性の平均年収は、女性の平均年収の約1.2倍である。
ツ 現代日本における男性の平均年収は、女性の平均年収の約1.6倍である。
テ 現代日本における男性の平均年収は、女性の平均年収の約1.8倍である。
ト 現代日本における男性の平均年収は、女性の平均年収の約2.0倍である。

問2 資料1~4のデータから読み取れる社会課題を1つ設定し、その改善策について、600字以内であなたの意見を書きなさい。ただし、必ずしも全てのデータに言及する必要はありません。課題の設定は、いずれかのデータに関連する内容であれば、各々自由に行なってくれて構いません。

解答

問1【正解】
ア 日本の男女は、大学進学率にはそれほど差がないのに、雇用や年収には大きな差が出てくる。
オ 日本における結婚しない人の割合は、昔は女性のほうが高かったが、現代では男性のほうが高くなっている。
コ 現代の日本人は、昔に比べて結婚する時期が遅くなり、離婚の件数も昔に比べると増えている。
ソ 日本の非正規雇用率は女性のほうが高いにもかかわらず、ホームレスの数は圧倒的に男性のほうが多い。
テ 現代日本における男性の平均年収は、女性の平均年収の約1.8倍である。

問2(解答例)
 資料4から読み取れる通り、日本には女性の生き方と働き方に関して課題がある。特に離婚や未婚の数が増加傾向にあるなか、雇用と賃金に格差があるのは問題だ。女性は男性に比べて1人では生きづらい状況にあると言える。つまり、女性のほうが男性よりも相対的に社会的なリスクを負いやすいということだ。進学率と大卒初任給にはあまり差がない点から、このリスクは不当なものだと言える。決して女性が男性よりも知能や能力で劣っているわけではない。スタート地点が同じでも、労働社会の中で事後的に格差が生じているのである。
 ただし、これは社会構造の問題であるため、抜本的な解決が難しい。そのため、早急に男女の完全な平等を目指すのは、現時点では現実的とは言えない。だから、まずは富の再分配と女性特有の困難さを改善する政策から着手すべきであろう。具体的に言うと、日本は累進課税率を上げ、ベーシックインカムを導入するべきだ。そうすることで、社会的な弱者に富が再分配され、男女の賃金格差も多少は是正されるはずである。それと、日本はもっと出産手当を高額にし、生理用品を無償化し、低所得のシングルマザーに対する社会保障を手厚くするべきだ。これは全女性の助けになるわけではないが、社会的な困難を抱えている女性にとっては大きな助けになる。このように日本は、まずは社会的な弱者となりそうな女性を救済できる環境整備から始めるべきである。(591字)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?