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#34 要約練習課題②

【課題】次の文章を読み、本文内容を100字以内で要約しなさい。

スライド22

 皆さんも、英語にはさんざん苦しめられているのではないでしょうか。なぜ日本人なのに英語を一生懸命勉強しなくてはいけないのか、しかも大学入試の中でなぜこれほど大きな比重を占めているのかと不思議に感じる人も少なくないでしょう。
 英語は、おそらく人類が手にした初めての世界共通語です。例えば、ある国の人と会話をするとき、互いの国の言葉を知らなくても、英語を介して意思疎通を図ることができる。第三者を介さずともコミュニケーションがとれるようになったという積極的な意味においては、英語が世界共通語になったことは非常に大きな出来事だといえます。
 他方で、英語には、「英語帝国主義」と呼ばれる問題点もあります。
 英語を母語とする人とそうではない人との間には非常に大きなハンディキャップが生じます。英語での表現には限界があるからです。皆さんも、この先、世界に何かを発信していく場合、どうしても英語で伝えなくてはならない場面に出くわすでしょう。すると、英語にはない表現や概念を説明する必要に迫られることがあります。あるいは、英語によって生み出された枠組の中に、表現すべき課題を組み入れなければならない。例えば、代々の長男が屋敷や土地を受け継いでいく日本の「家」は、英語の「family」と意味が異なります。そこで、日本語の「ie」の意味や定義を英語で表現しなければいけないという不都合が生じます。同様に、例えば最近では「過労死(karoshi)」や「オタク(otaku)」などという日本特有の表現も、注釈をつけるなどして、説明に手間をかけなくてはなりません。これはたんに表現の問題ではなく、英語による知の支配の問題なのです。
(伊豫谷登士翁「グローバルに考えるということ」 『揺らぐ世界』桐光学園+ちくまプリマー新書編集部〔編〕2015年4月)

解答例

英語が世界共通語になったことは非常に大きな出来事だ。しかし、英語を母語とする人とそうでない人との間にはハンディキャップが生じる。これはたんに表現の問題ではなく、英語による知の支配の問題でもある。(97字)

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