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#40 要約練習課題⑧

【課題】次の文章を読み、本文内容を200字以内で要約しなさい。

スライド28

 われわれの住む大衆消費社会というものの原理は「私有」だ。だれもがマイホーム、マイカー、マイ家電、などなどを買うことができて、それによって豊かさを実感できる、平等を実感できる、それがアメリカ型の大衆消費社会であり、戦後の日本はそれに追従した。
 しかし、その私有の原理の魅力がだんだん弱まってきた。私有しなくても借りればいい、共有でいい、みんなで共同利用すればいいという価値観が拡大してきた。そこでは、物を買う、競い合って買う、ブランドを見せびらかすために買うということでは満足が得られない、幸福が感じられない。もっと人と心がつながり合うことに関心が移行しているのである。
 高齢化すると年金で高齢者を支えるのも大きな負担になる。若い世代が1人で高齢者を2人支えなければならないと言われる。しかし発想を逆転して、高齢者が2人で若者1人を支える社会と考えることはできないだろうか。高齢者が自分の資産を活用して若者を支援する、たとえば空いた家や部屋を非常に安く貸すとか、自分の知識や経験や人脈を若い世代に提供していくということも今後は望まれるだろう。(中略)
 そもそもなぜ近年、シェアハウスの人気が急に拡大したのか。それはシェアハウスに住むことは実は人々が求めることを同時に満たしてくれるからだろうと思う。だったら、シェアハウスのような社会をつくれないか、「シェア社会」をつくれないか、と私は夢想するのである。
 シェアハウスのキーワードは、まずエコノミーとエコロジー、そしてセキュリテイ、最後にコミュニティだろう。
 ワンルームマンシヨンに住むより快適な空間が初期費用をあまりかけずに入居できる。一緒に住むから光熱費などが省けるので、エコノミーであリエコロジーである。
 また、一緒に住むから防犯上安心。まさに地震のときはシェアハウスに住んでいてよかったという人が多かったそうだ。つまリセキュリティが高い。
そしてコミュニティ。一緒に住むからおしゃべり仲間がいる。人生相談もできる。ストレス解消にもなる。病気のときも安心だ、ということである。
 このようにシェアハウスには現代人が求める価値が揃っている。だから人気なのだ。だったら社会全体を私有主義万能の社会からシェア社会に変えられないだろうか。震災後の社会だからというだけでなく、高齢化、女性の社会進出という観点からも、さらに、エネルギー問題、環境問題等々のよりグローバルで長期的な観点からも、そういう新しい社会のデザインが必要であると思う。何よりもわれわれは、人類として、生物として、地球をシェアしているのだから。
(三浦展「共感と共有の時代」 三浦展・藤村龍至編著『3・11後の建築と社会デザイン』平凡社2011年11月)

解答例

大衆消費社会の原理は私有である。人々はそれによって豊かさを実感してきた。しかし、現代では私有よりも共有へ価値観が変化している。人々の関心はものを買うことよりも心がつながることへ移行している。例えばシェアハウスの人気は良い例である。そこには現代人の求めるエコノミーとエコロジー、そしてセキュリティとコミュニティがある。ゆえに今後は社会全体がシェアハウスのようなシェア社会と変化していくのがよいだろう。(199字)

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