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#38 要約練習課題⑥

【課題】次の文章を読み、本文内容を100字以内で要約しなさい。

スライド26

 今年夏の選挙から、投票権年齢が18歳に引き下げられる。「若者の声を政治に届けよう」といったように、マスコミや行政はこぞって18歳選挙権に関する特集やキャンペーンを組んでいる。それ自体は意味のあることだとは思う。少子高齢化が進む日本では、若者の有権者は絶対数が少ない上に、投票率も決して高くはないからだ。
 なぜ若者の投票率は低いのだろうか。1つは政治に関わる機会が少ないから。結婚して子どもができれば待機児童問題、親が年を取れば介護問題など、年を重ねるにつれ政治に関心を持つ機会が増える。しかし現在の生活に満足している元気な若者は、よほど意識が高くない限り、政治に関心を持とうとはしないだろう。
 どの党の誰に投票するか。本当は考えれば考えるほど難しい問題だ。自民党や民進党など主要政党には政策的に重なる部分も多い。争点になり得る集団的自衛権や原発だって、自分なりの考えを整理するのは大変だ。今のこの日本の政治情勢の中で、自信をもって投票ができる人というのは、よほど自分なりの正義を信じられる人か、大してものを考えていない人くらいのものだろう。
 さて、18歳選挙権はこの国にどれほどのインパクトをもたらすのだろうか。結論から言えば、選挙権が2歳引き下げられたところで、社会はほぼ何も変わらないはずだ。なぜなら、日本には有権者が約1億人いるが、新たに有権者に加わるのはたった240万人に過ぎない。本当に微々たる割合である。
 しかし楽観的に考えた場合、18歳選挙権をきっかけに、社会が変わり始める可能性はある。
 まず、10代の投票率は、20代よりも高くなると思う。今までは20歳になったところで、勝手に投票用紙が届くだけ。住民票を実家の住所にしてある大学生などは、選挙の存在さえ知らない可能性もあった。しかし18歳選挙権についてこれほど報道されているから、これまでの選挙より認知はされているだろう。
 だが、より重要なのは被選挙権年齢の引き下げだと思う。海外で20代の大臣は当たり前。カナダなど、国のトップが40代という国も珍しくない。高齢政治家が一概に悪いというわけではないが、クールジャパン担当大臣なんてどう考えても60代のおじいちゃんよりも、20代のほうがいいに決まっている。被選挙権年齢が引き下げられて初めて、政治が若者のことを本気で迎え入れたことになる。
(古市憲寿「18歳選挙権よりもっと重要なこと」 『中央公論』2016年7月号)

解答例

投票権年齢が18歳に引き下げられる。これにより社会が変わり始める可能性がある。しかし、より重要なのは被選挙権年齢の引き下げである。それにより初めて政治が若者のことを本気で迎え入れたことになる。(96字)

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