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#39 要約練習課題⑦

【課題】次の文章を読み、争点となっている内容を100字以内で説明しなさい。

スライド27

 人権抑圧的な政権に対して、改善、民主化の圧力をかけるために、国際社会が協調して、経済封鎖をおこなうことがある。国際協調による経済制裁は、結果的には人権政策を回復させる目的を達成するかもしれないが、その過程で多くの犠牲を生み出す。とくに貧しい者や、弱い立場の人たちは犠牲となりやすい。最近ではイラク、リビアやパキスタンに対して経済封鎖がおこなわれた。少し以前の例ではあるが、カリブ海の国、ハイチに対しておこなわれた経済封鎖をめぐる状況と、社会に対する影響を見てみよう。1991年のクーデターで成立したハイチ軍事政権が、人権抑圧的な圧政をおこなっているとして、国連は人権尊重政策と民主制の復権を期して決議の上、経済封鎖を行なった。
 封鎖が行なわれた3年間に、ハイチ国内で5歳以下児童の栄養失調の頻度が、27%から50%に増大し、栄養不良のために何千人もの子供たちが死亡したと推定されている。民主主義政権の崩壊の後に、児童の健康状態は西側世界の中で最悪といえる状況となった。小児の死亡率は、経済封鎖開始後、 64%上昇してしまった。経済封鎖によって雇用と食料生産は激減し、同時にインフレーションが進行、食料や薬など、必要物資の価格は暴騰した。700万全人口の大多数が貧困の中に暮らすこととなり、多くの家庭が子弟を学校に送る余裕をなくした結果、小学生の就学率が25%低下した。一方で権力層や、富裕層の多くは海外の銀行に貯蓄口座をもつことで、このような経済的混乱から免れており、また闇市場において、必要な物資を手に入れることが出来た。当然ながら政治的権力から無関係の貧しい人たちはそのような特権的手段をもっていない。食料不足だけではなく、保健衛生の行政サービスも著しく混乱し、薬品、医療用物資の不足、また電力供給の障害によって、一般病院や保健所の機能は、ほとんど壊滅してしまった。また公的な輸送機関がしばしば麻痺したので、医療保健施設へ通う手段も制限され、とりわけ予防接種を受ける率が極端に減って、感染症による死亡が非常に増えた。以前は全体の死亡にしめる麻疹(はしか)による死亡の割合はl%であったのに、経済封鎖の間になんと14%まで増大した。
 新しい民主的政府がようやく1994年に成立して、ユニセフの指導協力のもとに直ちに麻疹撲滅のキャンペーンを行ない、300万人の子供が注射をうけ、6か月後には95%の接種率を達成した。経済封鎖の期間には20%の子供しか接種されなかったことと対照的である。また同時にビタミンA製剤とポリオワクチンも供給された。
「UNICEF.The StAte of the World's Children より抜粋 翻訳」

解答例

人権抑圧的な政権を改善させるために行う国際的な経済制裁には多くの犠牲が伴う。特に子供など弱者が犠牲になる。結果として改善されたとしても、その過程において生じる犠牲の問題はどう解決していけばいいのか。(99字)

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