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理想と現実の狭間で

帰り道だるんだるんの爆乳老婆の着ていたTシャツ。胸部に大きく"BIRTH"の一文字。
ああ、今日も一日が終わった。
改めて、この世に神や仏はいないと感じる。
正確には居たのかもしれないが、とうの昔にのたれ死んでいるのではないだろうか。

突如顕現した日野市の地母神を横目に帰りの電車に乗った。

──時は少し遡る。

「今、手空いてる?頼みたい事があるんだけど」とリーダーから声をかけられた。

頼まれて意気揚々と馳せ参じたら、内容はデスクを引っ越すから電話機の配線整理して欲しいとの事だった。

「ケーブルとか全然わかんなくてェ〜、お願いしていいかしらァ〜〜ン。」

グッチャグチャのきったないバカハブから垂れるRJ45コネクタのケーブルを見て、私の心はぐちゃぐちゃになった。「貴様がやれよ!!!」と言いたくても言えない雑魚野郎が服の隙間からミチミチと溢れ出そうだ。

周りの人達は皆やりたい事を出来ているのに、これじゃあアイドルにスカウトされたと思ったらイメージビデオからのAVルートじゃあないか。何で俺だけがイメージビデオ?俺もステージに立たせてくれよ!
クソ、クソ、クソと頭の中で自分自身をブン殴りながら、思考は場末のトルコ風呂へと沈みゆく。

何故、ババアのご機嫌取りをしなければいけないのか。
何故、己はここに居るのか。
何故、こうなってしまったのか。
世の中何で働かねえ奴が俺より楽しそうなんだよ。
もっと、もっともっともっと俺より苦しんでしまえばいいのに。税金高すぎんだろ、奨学金高すぎるわクソ。岸田さん?岸田さーーーーん。

全部己のせいだった。
岸田は悪くない。岸田の肛門ぺろりんちょす。

と、今日も今日とて無駄な自己批判をしそうだったがバチッと頭を切り替えてさっさと作業を終えた。

ここからが本題で最近ようやくいわゆるゾーン的なものを理解したのだ。今まで私は悲劇の主人公気取りになっていた。自分は恵まれていない、自分はダメな人間であると。

確かにそうではあるが、そんな無駄な思考を徐々に切り捨てる事ができる様になった。
切り捨てる方法は、正直なんだっていいのだ。

ペンをカチカチするとか、ストレッチをするとか、息を吸うとか。
本当なら喉枯れるぐらいの勢いで大声を出してレッツノートを谷折りしたい。

何かをぶっ壊すぐらいが一番ちょうどいいが、
そんなことは出来ない。
とにかく深く考えすぎない事が肝要。

世の中にはおそらく自分の様に、
いつまでも実現出来ない事を悩む愚か者が居るのだろう。
そんな誰かが人知れず死ぬ前に、何かしらの力になりたい。

とにかく目の前のレッツノート破壊しろ。
スクラップアンドビルド。
破壊無くして創造は無し。

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