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(日記)サンローランのバッグは会社の設立資金に消えた 〜700万の奨学金と85万の出費〜

なんか映画っぽいタイトルになってしまいました。『ナツノカオル・ジョーンズ 失われた貯金』的な。『ナツノカオルー・ポッターと火の車』的な。

とにかく金融資産の増減が激しい1年間でした。為替チャートで言うところのワロス曲線(※)的な。頑張ってお仕事はするんだけれども、次の瞬間、必要経費に吸い込まれていく。そういう日々を、現在進行形で過ごしています。

少し話が逸れますが、私は小さい頃に母を亡くし、祖父母に育ててもらいました。そのような背景から、「祖母の教えは絶対」みたいなところがあって、今でも守り続けているものがあります。たとえば、

道具はつぶす(壊す)つもりで使え。恐る恐る使っているようでは何事も上達しない。

とか、

豆は賢くなるから無限に食べろ。

とかです。

そんでもって、教えの中に、「財布はいいのを買え。そして、コロコロ変えるな」というのがありました。

おそらくですが、「安物を身につけていると気が引き締まらないから、多少は見栄を張り、その見栄を維持できるように勤勉に働きなさい」みたいなことを言いたかったんだと思います。いや知らん。もしかするとただの財布マニアだったのかもしれませんが、大切なのは受け取り方ですから、私はそう解釈しました。

そのため、私はこれまで3つしか財布を持ったことがありません。1つ目は、小4のときに父が買ってくれたもの。小学生にしては大人っぽい……と言えば聞こえは良いものの、はっきり言ってケバめの、ショッキングピンクの財布でした。最短経路で大阪のおばちゃんにしようとすな。

2つ目は、大学生になり、アルバイトで稼いだお金で買った財布。「これからはお小遣いではなく、自分のお金で生活するぞ」という決意を込めて買ったものでした。

3つ目はちょっとイレギュラーで、友達からのプレゼント。ぼろぼろになった財布を見て、お金持ちの友達が「僕が見るに耐えないから」とかいう理由で買ってくれました。私の周囲、パンチの効いたやつしかいねえな。

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じゃあ、4つ目はいつ買うんだろう?と考えたときに、「今年だな」と思っていたんですね。なんといっても、30歳になる節目の年なので。

30歳。歳をとるのは怖くないけれど、「覚悟を決めなあかんな」とは感じていました。少しずつ柔軟なキャリアが許される社会になってきた感はあるものの、企業への勤務経験がないうえ、博士号が取れる頃には33歳になってしまう。もはや、第何新卒なのかって話です。

これはもう、そういうもんだと割り切って人生やっていくしかない。自分で道を切り拓こうというわけで、5月ごろに法人成りを決意。ギリギリ20代のうちに、めでたく法人を設立することができました。

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(法人設立に関しては後日(8/17 9:00予定)、1万字を超える詳細レポートを公開しますので、よろしければご覧ください)

さあ、めっちゃ人生の節目です。これはもう財布を買い換えたほうがいいじゃないですか。ところがどっこい、

法人化ってめっちゃお金かかるんですよ。

内訳は後日、1円単位で大公開するレポートをご覧いただければと思うのですが、いやもう、見事にまとまったお金が消えていきました。

そのうえ、私は奨学金を借りて大学院に通っていました。

修士課程、350万円。博士課程、360万円。

ちょっとずつ返して100万円ほど減ったものの、依然として600万円くらいの負債を背負った30代に……

やだやだやだやだ!!!!身ひとつで大航海時代を始めさせてくれや!!!!

というわけで、気合いで修士課程の分を一括返済し、博士課程の分についても、一括返済できる資金を確保しました(JASSOは手続きに時間がかかるので、気合いではどうにもならなかった)。

そんなこんなで、頑張って貯めた貯金はゼロ。「財布とおそろいのバッグも買っちゃお♪」なんて考えていたけれど、なんのなんの、ぜーんぜん買えませんでした。

人生ってままならない。それでも、おばあちゃんの教えは守りたいから、精一杯の見栄を張りました。

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今までありがとう、大学生協で買った1000円未満の名刺入れ。値段こそ安かったけれど、どんな要人取材にもついてきてくれた相棒でした。

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ちなみに、イヴ・サン=ローランは「モードの帝王」と呼ばれる天才デザイナーで、女性の装いにパンツスタイルを定着させるなど、女性のあり方にさまざまな革命をもたらした人です。私はかねてより彼の描く女性像に憧れていて、30歳の節目にはぜひサンローランの財布を買おうと決めていました。

残念ながらゴールはスケールダウンしてしまったけれど、今の私にはこれくらいの見栄のほうが、地に足がついていて良いのかもしれない。いや普通に悔しいけど、そこは受け入れて、代わりに手に入れた、この小さな会社を育てることに夢中になっていきたいと思います。

というわけで、30代の私もどうぞよろしくお願いします。

こぼれ話

京大の生協はここにあります。

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とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。