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金とき
2020年7月4日 02:29
朝焼けみたいな夕陽に騙されて、胸が張り裂けそうなくらいに、とろんと染まった空気を吸い込んでみる。喉の奥でつっかえた酸素が、ずきんと痛む心臓を優しく揺らした。もう限界だ、と思ったら最後、湿気を含んだ大きな吐息は白く高くのぼり、と同時に溢れ出した夕陽色の水滴が頬を伝いコンクリートへ染み出していった。 泣いたっていいだろ。なあ、いいよな。心の中で呟いても、東雲色の夕焼け空に浮かぶ陰りを帯びた大きな