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月々のうた:2024年8月


君という石に幾重と滲みゆく水よりのぼり立つ夏の雲

解体のだいぶ進んだ銭湯の富士にはじめて雲がたなびく

まだ夢を抱きしめている銀紙に香るわずかなカカオみたいに

白の海つめたい方へ寄り添って不在を暖めたらまた戻る

チェキ色にぼくら夏へと固着してその他の夏はただ蝉の声


8月が終わりました。
終わりゆく夏に向かってたくさん詠むぞー!と言ってはみたものの全然数は作れませんでした。でもだからと言って無為な1ヶ月だったか、というとそうでもなく、ただもう早く過ぎ去ってしまっただけで、それなりに楽しい思い出もありました。

それらが歌になっていないのは単に私が怠惰なだけであったのと、あとは飯田蛇笏の俳句に出会ってしまったことも大きいです。
蛇笏の、あの気品のある写生味に斬られてしまい、どうにもじぶんの歌が冗長な気がして、もっとソリッドに対象を見なくてはいけないのでは??
という謎の焦燥もあって筆が止まった、というのもあります。

一方で、そんな中で詠んだ歌が久々に「うたの日」で主席をいただけたりして、浮き沈みもありつつ充実はしてたんですよ!はい!

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