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バスタブの底で彼岸に目をひらき気泡よ空へ命を注げ 君がまだ君だった頃くちびるはこんなに赤く熟さなかった 水中で乳房は上を向いておりおんなのままで時間を止める ガソリンを満たす湯船に火をつけて裸のままで忘れられたい 仄暗い闇たちと待つ心音の二重螺旋が止まりゆくのを 有機物二体の冬を終わらせる確信的な春の復讐 高校三年生のときだったと思う。 東京の大学へと進学した二歳上の姉がその日は家に帰ってきていたので多分夏休みのことだ。 東京帰りの姉は思ったほど垢抜けてはい