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連作短歌

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連作、というほど大げさなものではありませんが、連なりの中で表現したものたち。だいたい思い立って一気につくります。
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2022年12月の記事一覧

連作短歌:聖夜、時限爆弾

クリスマスに醤油が切れてクリスマスに醤油を買いに駅前へ行く 昼食に作るラーメンあぁネギはどこだったけなこれはケーキか おみやげのペナントをツリーに飾るきよしこの夜安芸の宮島 駅前で呉れたティッシュで拭く眼鏡イルミも特にキレイになんねえ あ、そうだ、オーナメントにひとつだけ時限爆弾つけといたから 2022年はクリスマスイブからクリスマスの2日間が土日になった! きっと世界中で日本中で、わぁわぁ言いながらクリスマスを楽しむ準備をしているんだろうな。 そんなクリスマスイブ

連作短歌:バーミヤンにて

麻辣の方ばっかりの火鍋ならいいよ今夜は甘口の役 おしゃべりの花は紹興酒で咲いて累積2000円ごろ枯れた ひょっとしてお持ち帰りの餃子ごとキープしとく気ならば怒るよ 失くすもの計算するなこっち見ろ共犯者の目をするな弱虫 広東風餡のかかったあの鶏の熱はんぶんも自分にあれば サービスの定食みたいな愛ですか箸はつけても溺れませんか 気怠さもUber Eatsに運ばせて昼まで魚でいたかったのに 引き汐に流すじゃあねの輪郭を瞬間映すバーミヤンの灯 たぶんはじめて意識しての

連作短歌:ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2

キスしたらドレスの裾をまくりあげ第三宇宙速度で逃げろ プラズマのシャワーを浴びて星のなか君にしばらく被曝してたい 恒星にぶん殴られた恋たちはオーロラに乗り銀河を目指す 瞑ればこそ輝きはなつ華の香にあぁ君はまだそこにいるのか   小川一水さんの小説「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 2」を読みまして、読み終えたのが2022年の6月25日、偶然にもその日が 「百合の日」であったことから勢いで詠んだ四首連作です。 というわけで百合小説です。 百合SF小説です。 百