私たち

大人になっても付き合いが続く友達は貴重だ。友達はそんなに多いほうではないけれど、今でも連絡を取る友達はみんな何人もいて、みんな大好きだ。

その中でも大学時代の友達たちは今でも割と頻繁に連絡を取る。わたしを入れて4人、みんな女の子で、みんなそれぞれの道を歩んでいる。


知り合ったのは大学時代、女子大だったその大学は華やかな人たちが多くて、みんな眩しかった。
帰り道、よく将来の話をしながら歩いては「わたしは25歳までには結婚したい」だとか、「結婚したら絶対専業主婦」だとか、「年収はいくらの人がいい」だとか、超絶夢見がちなことを半ば本気で口々に言いあっては盛り上がっていた。
わたしの母はバリバリ働いていて、わたしも母のように働きたいと思っていたし、地元では聞いたことのない発言だったので大層驚いた。けれども周りの友達のお母さんは専業主婦が多かったし、当時その大学の卒業生の3割は(自ら)就職しないというような人たちが多い大学だったので、彼女たちの夢見る発言はあながち妄言ではなかったのだ。


いざ卒業の時、4人の中で就職したのは1人だけだった!しかもなんと、わたしではない!
4人のうち就職したのは、絶対専業主婦発言をした彼女だった。彼女は、就職して2,3年でいい人見つけて結婚するといって就職した。その他は一人はイギリス留学、わたしともう一人は専門学校に進学したのだった。

わたしはCAを目指しながら英語を強化できる1年制の専門学校に進んだ。もう一人は映像の道に進みたいと専門学校に入り直し(大学では外国語学部だった)、もう一人はイギリス文学を極めるために日本を発った。


みんなそれぞれやりたいことに向かって進んでいた。いつだって話題は自分たちのことで持ち切りだったし、夢のこと、恋愛のこと、将来のこと、全部が全部まるごと自分のことだった。

特に将来のことに関しては、それぞれが夢を具体化していて、みんなの話を聞くたびわくわくした。
イギリスから帰った彼女は大学院に進み、やりたいことがたくさんあるから結婚はしなくてもいいかなと言い放った。年齢的にはそろそろ婚活も視野に入る年頃の私たちだったので、ちょっとびっくりしてしまった。でも、念願叶って映像の美術の道を邁進中の彼女は充実が滲み出ていて素敵だったし、わたしもCAの仕事が楽しくて仕方なかった。
若くてとれたての果物みたいに瑞々しくてはちきれそうで、生まれたばかりのひな鳥みたいにひっきりなしに喋っては話題が尽きることはなかった。
はあ、今思い出しても愛おしいあの頃の私たち。




あれから何年経っただろう。早い。
みんな結婚して、子供ができたり妊娠中だったり、今日もそれぞれの道を歩いている。


あの時専業主婦宣言をした彼女は、めでたくその職場で同期の一人と結婚し、子育て真っ只中だ。だけど、「専業主婦は無理かなー。わたしも育休終わったら復帰します」と働きます宣言に路線変更をした。
結婚よりやりたいことをやり尽くしたい彼女だったけど、27歳の時に「人生でこんなに人を好きになったのは初めて!」とこれまた大胆発言をして周りを照れさせ、毎日彼に結婚しようといい続けて、28歳の時あっさり結婚、今は二児の母になった。

専門学校組のわたしと彼女は、夢を現実にしてこのまま働き続けると思っていた、けど、結婚してお互い仕事を辞めた。この先はバリバリ働く道とは少し違うけど、これから何をしようか。


話題も、ついこの前まではどこを切り取っても自分たちのことばっかりだった私たちが、子どものことや家族のことを話すようになった。
時間は常に流れていて、移り変わっていくんだなあ。

それでも、今も連絡を取り合っている。お互い今いる場所やステージが変わっても、変わらないものもある。

もちろん今でも迷いや悩みは尽きないけど。わかるー。と送りあったり、励ましあったり、いつだって女友達は優しくて最高だ。


みんなまだ独身だった頃は年に一回旅行をしていた。今はいけないけど、いつかまた行こう。子どもはそれぞれいるし、わたしもこの先そうなるかもしれない。でも、自分の道を自分で作ってきた私たちだ、それぞれの旦那さんもみんな最高なのだ!ちょっとの旅行くらいなら4人だけで行かせてくれるだろう。結婚しても、ママになっても、私たちは私たちの人生を生きているのだ。



時間が経って、今思うことも関係性も変わるかもしれない。けど、それでいいと思っている。近くなったり時には離れたり、また別の考えを持っても幸せなら全てよしだと思うので。

おしまい。
身内ネタみたいになっちゃって、つまらなかったらごめんなさい。

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