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羽生結弦「天と地と」②


前回の続き。

2:04〜

「静」のパートから「動」のパートへの架け橋のようなステップシークエンス。足元に注目すると裏拍をきっちりとってるのが分かります。2:11あたりからそれまで裏拍をはっきりと刻んでいた音が消えても、羽生くんの足元はしっかりと裏を取り続けます。
優雅だけど力強くとご本人も言っていたけれど正に!力強いけれど全く感情的にはならず、かといって飄飄としてるかと言われればそうでもなくて、外から触れられないような強いもの。
シニア10年目の風格を感じます。
感情剥き出しの初代ロミジュリを思い出して、気が遠くなりました。
いや、そうなっていったというよりも、こういうプログラムが似合うようになったのかな。今でもあの時のようにとはいかなくても感情的なロミジュリは出来ると思うけれど、こんな感じのプログラムのが似合う。
いつからこうなったのかは分からないけれど、段々とグラデーションのようにこうなっていったんだと思います。SEIMEI2018の時には既にこんな感じの雰囲気は纏っていたと思うので、オペラ座の怪人、SEIMEI2015、Hope&Legacyが過渡期かな。
その分、平昌のSEIMEIのコレオで、感情的に滑ったところはやっぱり胸が熱くなりました。脱線した。

ここは戦ってるシーン、自分の中で〜とご本人言ってますが、上杉謙信が戦いをする上で葛藤してるシーンなのかな、と思います。戦うことが好き、勝ちたいけれどそこには絶対に失われる命がある。そんなジレンマを抱えて自分の中で戦ってるシーンなのかな(日本史あんまり知らないけども)

2:21〜


そしてここの雄大なイーグル!ジレンマを解決するような!
さっきまでの細かい動きとは対照的な大きい動き。ここからクライマックスに向かっていきます。4T3Tもでっかく、雄大。
自分のやり方を信じる、みたいな迷いが振り切れた感じを表現してるように見えますがやっぱり羽生くんの人生と重なるなと思いました。平昌後の羽生くんかな。
それか、このコロナ禍、コーチに会えず、自分の感性しか信じられるものがなかった中でそれを貫き通した姿にも重なります。そういえば平昌の時、自分へのコメントで「今を貫け!」て書いてたなあ。私たちには見えない時でも、葛藤して信じて貫いて、そんな繰り返しを何度も何度も繰り返して段々磨かれていった結果が今の演技なんだと思います。泣けた。

2:58〜


新しいリズムが出てきて繰り返されます。4T1Lo3Sが入るところまで繰り返されて、段々大きく速くなり、頂点に向かってく。その頂点のところにこの3連続を入れるはすごくリスキーだなと思いました。ここでやらかすとどうにもこうにもならない。しかも段々速くなっていく中乱れずに助走に入るって、ド素人の私は想像するだけで気を失いそうな緊張感。それで3:16の音に合わせて左手を振り上げるところまでがセット。ここも少しでもずれたら全て失うような緻密さでした。

3:20〜


またいきなり「静」のパートに入ります。つくづく細かい緩急が多いプログラム。
ここからが1番今回のプログラムで神憑り的なものを感じたかもしれない。風と一緒に舞ってるというか、森羅万象を司ってるかのような神々しさだった。
そこからの3A!先にオーケストラがメロディーにのって、そこを後追いしてるハープ?の音に完全にハマってます。着地まで。生きている間にこれよりも良い3Aが見られるのか分からないほどでした。

3:40〜


最後の見せ場、コレオに入ります。お馴染みのハイドロとイナバウアー。いつも思うけど同じ動作なのに見え方が全く違う。同じプロでも毎回違う。この先どんな風に見えてくるのか楽しみです。ここで好きなのが、ハイドロとイナの間の振り付け。空中ジャンプのようなものが二回入っていて、どちらもめちゃめちゃ力強くて美しかった。力任せにやっているように見えて細かくコントロールされているんだなと思いました。最後のスピンまで糸が切れることなく、緻密に緻密に、でもダイナミックに、神々しい演技でした。


以上!
私がファンを始めてから(2014.2〜)こんなに初戦で完成してる演技は見たことがありません。初戦からヘルシンキワールドみたいな、そんな気分です。
長野でのこの演技ということで、N杯2015を思い出しました。長野五輪のオリンピックマークのもとであの演技をして、平昌まで駆け抜けていった。今回もここから北京までどうか怪我なくステイヘルシーで!駆け抜けて欲しいです。

北京五輪が開催されるのであれば、羽生くんはこのプログラムで挑むのだと思います。長い長い現役生活の集大成として。
史上最高最強のプログラムを世界中の人に、フィギュアファン以外のたくさんの人にも広めてほしいです。フィギュアスケートは、日本の羽生結弦は、こんなにも美しいんだと世界規模の伝説になって欲しい。そしてそれはやっぱり五輪でしかできないことだと思います。

いよいよ最終章だな〜〜こちらもファン生活の集大成として全力で応援します!

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