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悲しみを知らないままでいて

1月11日、成人の日。近所の神社まで散歩に行くと、成人式が中止になったであろう新成人たちが記念撮影をしていた。晴れ着に負けないくらいの笑顔を見ると、こちらまで嬉しくなる。


わたしの地域の成人式は夏でドレスを着たし、前撮りもしなかったから振袖を着たことはない。
今となってはもうどうでもいいけれど、当時「前撮りなんて必要ない」と親に言われて泣いた記憶がある。


今この場にいる新成人たちは、そういうものをちゃんと祝ってくれる両親のもとに育って良かったなと思う。おめでとう。ハタチまで生きるってなかなか大変なことだと思っていて、一人一人の苦労は計り知れないけれど、そういう幸せを取りこぼさずに生きてほしいな。

わたしみたいな人間がいるって気付かないで、素敵な人生を送ってほしい。

似たような悲しみを知らない人がいると思うと、ホッとする。できればこの世の中の誰も、わたしみたいな悲しみを知らないでいてほしいと思う。そういう「綺麗なものしか知らない人」が多ければ多いほど、わたしは救われるから。みんなが悲しいわけじゃないんだって、信じたいから。

これは隣人愛なんて高尚なものではなく、皮肉でもない。わたしがその光に浄化されたいから。ただそれだけだ。


こんな不安定な世の中なのに、すれ違った笑顔すべてがとても眩しくて、幸せだった。新たな門出に、どうか悲しみの少ない人生を。


世界はそれを愛と呼ぶんだぜ