アメリカで初めて出会ったアシュリーのラストネーム
20歳の時、初めて日本を出た。
映画を見て、憧れこがれて、寝ても覚めても英語を勉強したのは、このアメリカという国へ行くためだった。
アメリカに降りたって、太陽の下で深呼吸した時、その味が日本の空気とは全く違っていて、感動を覚えた。甘くていい匂いがして、カラッとして空気がなんか軽くって、これから自分は何でもできる!という自由の味がした。
22年経っても、それは忘れない。
*
渡米して一夜、モーテルで過ごした後、すぐに入学する大学の寮へ入った。私に割り当てられた部屋は、最上階である4階の、Hawthorneという寮だった。州立大学の寮は、たくさんのロケーションにたくさんの建物があって、全て名前が違っていた。私は「ルームメイト有り」を希望していたので、まだ見ぬルームメイトの部屋へ私が入れてもらうという形だった。
アメリカへ来て初めての大きな縁が、このルームメイトのアシュリーだったんだと思う。
アシュリーは、私が描いていた「ザ・アメリカ人」という女子で、ブラウンのロングヘアーで、短パンで、笑顔が可愛くて、足が長くて、いつもなんかいい匂いがして、わちゃわちゃ楽しそうだった。私はいわゆる「陰キャ」だという認識があったので、アシュリーはなんだか眩しくて、I can never be so cool like her.と思っていた。
初めて会った時、アシュリーは、Hi, my name is Ashley Hippo.と言った。
え?ヒポー?
Yeah, Ashley Hippo.
(ヒポーって、カバって意味の?)
2度聞いてもヒポーだったので、それで受け入れることにした。でも、後になってもなんか引っかかって、ずっと考えても、やっぱりアシュリー・カバではないだろう。そんなラストネームあるの?とぐるぐる考えた。
アシュリーは、週末どころか平日でも、いつもボーイフレンドと遊んでいて、ケーガンだかケビンだかいう、Kのつくボーイフレンドが、私たちの部屋によく来た。Kもアシュリーと同じようなクールな陽キャで、それまで私が憧れてみていた、海外ドラマや映画の中の「ザ・アメリカンガイ」みたいな風貌だった。金髪で、おしゃれで、当時はやっていたチェーンがポケットから垂れ下がっていて、アシュリーはすごいなあと思っていた。
アシュリーとKがよくパーティにいくから、その度に
Natsumi, do you wanna come?
と言われたんだけど、その誘いに乗ったことはなくて、
I can’t speak English well..
みたいなことを言いながら、アシュリーはIt doesn’t matter! It will be fun!と言ってくれたんだけれども、今考えれば英語がというよりは、なんかアシュリーとその仲間たちのcoolさに圧倒されていたんだと思う。私みたいな人間はそんなとこ行けない。。という感じで、断っていた。
ある時Kが、弟と一緒にアシュリーを訪ねてきたことがあって、一目見るなりお互いにHiと言ったんだけど、ワイルドクールなKより、もっと品があってなんか知的な印象を受けて、めちゃかっこいいなと思ったのを覚えている。
後で、アシュリーに、Kの弟めっちゃかっこいいね、と話すと、Oh, he said he thought you were cute too! と言われて、あんなamericna guyとデートできたら本当に映画みたい!!!と若い私の心は踊った。
もっと、彼と会う機会はないかなと思っていたけれど、その一回きりだった。人生というのは何が起こるか何が起こらないか、わからない。一期一会だから、何か気になることがあれば、その時に行動をとるべきだ。(私の人生だってそれで、今と変わっていたかもしれない)
そんなアシュリーとの共同生活も、私がスプリングタームから大学に入ったことで、すぐ夏休みとなり3、4ヶ月で終わってしまった。なんだか、初めてアメリカに行って、出会って、ベッドを並べて一緒に住むような仲となる濃い縁だったアシュリーのはずなのに、あっさりと終わったもんだ。
あの頃は自分の拙い英語のせいで、あまりよくわからなかったけど、アシュリーとももっと話してみたかった。
*
今になってもアシュリーのラストネームが本当にヒポーだったのかどうかは、全くわからず、彼女との連絡は途絶えたままだ。
*
Natsumi/ナッスーミ
<英語セラピスト、ライフコーチ、タロットセラピスト>
・マインドを大切にしながら学ぶ英会話レッスン
・英語習得とライフコーチングを組み合わせた英語セラピー
・魂の対話と内観ジャーナルで自己実現するライフコーチング
・地に足のついたタロットリーディングなど
オリジナルのメニューでその方が心豊かに生きられる方法を一緒に模索します。
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