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姉は「なるもの」であって、持つものではない

3歳年下の妹がいる。つまりわたしは姉なわけだが、我ながらなかなか暴君だと思う。

お医者さんごっこでは「注射しまーす」と二の腕に鉛筆を刺したり、仰向けに寝かせた妹の口に「お薬でーす」と粉ラムネを流し込んで全水分を奪い、嘔吐させたり。

どちらも子どもの無邪気さが引き起こした事故で、決してわざとではなかったけど、最悪なのは間違いない。

今でこそ妹とは仲良しだけど、大人になるまで仲が悪かったこともあって、幼少期から妹には主従関係を徹底的に叩き込んできた。

横並びの学習机から少しでも妹の持ち物がはみ出ていようものなら激怒したし、わたしの漫画を勝手に読むことも許さなかった。止むを得ず二人で出掛けなければいけないときは、わたしが先頭のドラクエ歩き。絶対に横並びになることはなかった。さながら亭主関白である。

今も実家に戻って母から頼まれごとをしても、実際にやるのは妹。洗濯物を取り込むのも、畳むのも、お皿を出すのも、風呂を洗うのも、全部妹と決まっている。その間、姉はソファでキャンディクラッシュに勤しむのが常だ。

2人で出掛けるときも、妹が待ち合わせ場所に先に到着すれば、何を言わずとも彼女はバスに並んで待っている。

本人も下っ端が板についている

以前、運転中にガムを出したくて、でも紙がなくて、助手席に座っていた妹の腕になすりつけたことがある。彼女は「も〜」と言いながら、姉の口から出たガムをティッシュでくるみ、捨てていた。

もはやこの程度では怒りもしない。変に感動すると同時に、そんな態度を取る妹に若干引いた。実に理不尽な話である

なお、サムネイル画像は旅先で姉の荷物を黙って運ぶ妹の図。妹はスーツケースで姉は手提げカバンだったので、これはやむを得まい。

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